汚れつちまつた悲しみに…/悲しみの世界性
ここできちんと
「汚れちつまつた悲しみに…」
原作に触れておきましょう
願わくば
声に出して読んでみましょう。
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日は風さえ吹きすぎる
汚れつちまつた悲しみは
たとえば狐の革裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる
汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む
汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる…
もはや
世界に通用する悲しみといって過言ではない
日本語で表された悲しみは
いかなる悲しみも追随できません
この悲しみは
味わうことしか
経験できない
感じることしか
味わえない
いかなる解釈も
撥ね退ける
悲しみであります
これは
だれにでも
感じることのできる
感情です
素朴な読者=大衆は
これを感じます
感じることができます。
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