カテゴリー

2024年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« いのちの声 その3 | トップページ | トタンがセンベイ食べる/春の日の夕暮 »

2008年6月15日 (日)

汚れつちまつた悲しみに…2

001

「第二回目に、中原と太宰と私で飲んだ時には、心平氏はいなかった。」と、
檀一雄が「小説 太宰治」に記し、
それに続けて語られた中原中也のある日のことは、
色々なことを考えさせられます。

「太宰治に搦む中原中也by檀一雄その2」で
ふれなかったことを
ここで補っておきましょう。

檀一雄は、中也と飲んだ2回目の時を回想した中で
中也が太宰に「夜襲」をかけた1件を書きます。
太宰の住処を訪ねる道すがら、
中也が宮沢賢治の詩を口ずさんだことを記しています。

太宰の家に着き
「奥様」の初代さんの応対を無視して
太宰の寝ている枕元に上がり込んだ中也を見かねた檀一雄は
ついに雪の道に中也を投げ出してしまいます。
「わかったよ。おめえは強え」と
中也が観念する場面です。

それから、「二人は」銀座に出、その後川崎の娼家で夜を明かします。
翌朝、追い立てられるように外に出た雪の道で
中也は「汚れつちまつた悲しみに…」を口にします。、

「小説」とわざわざ檀一雄が断っている作品の中でのことですから
事実との間にはいくらかの断絶があるのかもしれません。

しかし
「汚れつちまつた悲しみに…」という詩が
この世の中に現れた時の
その登場の仕方の一つ形を
想像できるという点で
この場面は注目に値します。

中原中也が、
宮沢賢治の詩に感心し、
自らの詩作に影響を受けたことは
よく知られています。

その賢治の詩を口ずさみ
また
自作「汚れつちまつた悲しみに…」を低吟して歩く中也の姿は
実際にはなかったことなのかもしれませんが
強く印象に残るのです。

« いのちの声 その3 | トップページ | トタンがセンベイ食べる/春の日の夕暮 »

0001はじめての中原中也」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 汚れつちまつた悲しみに…2:

« いのちの声 その3 | トップページ | トタンがセンベイ食べる/春の日の夕暮 »