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2008年7月 6日 (日)

宿酔/天使たちのバスケットボール

181

4行3連で
第1連と第3連は全く同一の詩句。
こういうのを
2部形式と音楽の授業で習った覚えがあります。
シンプルであるがゆえに
中身の濃さが問われる、というか。

一読して
残るのは第2連
もう不要になったストーブ。

ここに中也がいる
と真っ先に思ってしまいます。

白っぽくさびているストーブは
ダルマストーブなのでしょうか
昔の小学校、中学校、高校など学校……は
駅舎の待合室……は
みんなダルマストーブでしたが
個人の家ではどうだったのでしょう

石炭やコークスの
燃え盛るストーブは
太陽の赤でしたが
一度消してしまえば
白い粉を吹き出して
隅っこに死んでいました

目を瞑(つむ)ると
このストーブが見えるのです。

朝、目覚めると
曇天に風。
それも強い風です。

二日酔いで
ガンガンする頭をかかえた詩人が見るのは
たくさんの天使が
バスケットボールをしている景色です。

強い風が
詩人には
天使のバスケットボールに見えたのです。

なんだかシュールな映像!

曇天に強い風は
宿酔の詩人に
心地よかったのかもしれません。

初期詩篇の末尾を飾る作品です。

 *

 宿酔

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。

私は目をつむる、
  かなしい酔ひだ。
もう不用になつたストーヴが
  白つぽく銹(さ)びてゐる。

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。

(角川文庫クラシックス 佐々木幹郎編「中原中也詩集『山羊の歌』より)

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