月/詩人の悲しみ
初期詩篇で一つだけ
読まなかった詩があります。
初期詩篇の2番目。
「山羊の歌」全体から見ても
2番目に置かれた
「月」という作品です。
ダダの詩です。
だからといって
恐れることはありません。
詩を読んで
苦しむことはありません。
もし苦しんでいるのなら
何かが間違っていますよ!
ダダの詩なら
いっそ楽しみたいですね。
中也の作品としては初期のもの。
であるがゆえに
ダダである上
若い(=青い)作品といえるかもしれません。
でも詩句を何度も追っているうちに
見えてくるものがあります。
ある形みたいなものが
浮かび上がってきて
やっぱり中也だと見直します。
4-4-3-3の14行詩
ソネットの形。
各連に「月」の1字が見えます。
その月を見比べると……。
1連は、月はいよいよ悲しく
2連は、物憂く煙草を吸っている
3連は、汚辱に浸る月
4連は、月は待っている
月は詩人自らのことと
想像できるでしょう。
1連の4行は、悲しい理由
2連の4行は、戦地のイメージか
3連の4行は、天女が舞い元気づけようとし
4連の4行は、慰められない詩人が、
星々に向かって
自らへの裁断を呼びかけます
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