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2008年10月23日 (木)

中也とマレーネ・ディートリッヒ/吉田秀和

本日の朝日新聞朝刊「音楽展望」で吉田秀和が、
中原中也と映画「嘆きの天使」を見たことを記しています。

 

(略)北海道小樽の中学を出て東京の高校に通い出したころはよく映画を見た。学校が小田急沿線にあったので、新宿に出て武蔵野館という洋画の封切館に行った。

 

ここはよく人が入っていて、私は二階の通路の階段に腰を下ろし、中原中也とマレーネ・ディートリッヒ主演の《嘆きの天使》を見たのを覚えている。ルネ・クレール監督の《巴里の屋根の下》もそんなふうにして見たはずである。(略)

 

と、無声映画が
トーキーに変わりつつあった
昭和初期の映画の中の
音楽についての思い出を書くリードに、
中也との思い出を、
さらっと挟んでいる感じです。

 

中原中也と生前に親交があり、
中也を知る数少ない生き証人でもある人の
さりげないエピソードが
貴重です。

 

昨日の中也忌に、
どんなことが、この、大の字のつく音楽評論家の
脳裏に去来したのか、
「ソロモンの歌」中の「中原中也のこと」では、
中也のことをむやみに書くべきではない、
と述べているのを知っている読者には、
ありがたく、また、ほっとするのです。

 

 

 

 

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