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2008年11月 9日 (日)

タイトル中に「夏」がある詩について<5>

「山羊の歌」にも「在りし日の歌」にも
「生前発表詩篇」にも入らない作品は
「未発表詩篇」として分類され、
この「未発表詩篇」は、さらに、
制作年順に整理され、

「ダダ手帖」      (1923-1924)
「ノート1924」               (1924-1928)
「草稿詩篇」      (1925-1928)
「ノート小年時」    (1928-1930)
「早大ノート」     (1930-1937)
「草稿詩篇」      (1931-1932)
「ノート翻訳詩」    (1933)
「草稿詩篇」      (1933-1936)
「療養日記・千葉寺雑記」(1937)
「草稿詩篇」      (1937)

と、
残されたノートの題などから
それぞれに分類名が付けられ、
研究や解釈などに
便宜が図られるようになっています。
 
タイトルに「夏」の字がある作品を
ざーっと見て、
「在りし日の歌」の難解詩「夏の夜」の
読みの助けにしてみよう、と考え、
いま、「未発表詩篇」にたどりつきました。
12作品ほどが、ここにあります。

以下に、そのうちの2篇を載せます。
「ノート1924」にある作品で、
どちらも、ダダイズムの色濃い詩です。

 *
 初夏

扇子と香水ーー
君、新聞紙を絹風呂敷には包みましたか
夕の月が風に泳ぎます
アメリカの国旗とソーダ水とが
恋し始める頃ですね

 *
 真夏昼思索
 
化石にみえる
錯覚と網膜の衝突
充足理由律の欠乏した野郎
記臆力の無能ばかりみたくせに
物識りになつたダダイスト
午睡(ヒルネ)から覚めました
ケチな充実の欲求のバイプレーにヂレッタニズム
両面から同時にみて価値のあるものを探す天才ヒステリーの言草
矛盾の存在が当然なんですよ
ヂラ以上の権威をダダイズトは認めませぬ
畳をぽんとケサンでたゝいたら蝿が逃げて
声楽家が現れた

(角川文庫ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

(この稿つづく)

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