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2008年12月 2日 (火)

汚れつちまつた悲しみに……再4

「汚れつちまつた悲しみに……」という詩は、
噛めば噛むほどに味が出てくる
底の深い作品ですね。
口ずさんだり、暗唱したりしていると、
ふっと、新しい解釈が見えてきたりします。

反面、
噛んでも噛んでも
味わい尽くせない深みがあります。

それに、
繰り返し、口ずさんでいると
悲しみが乗り移ってくるようなこともあります。

ところが、
繰り返していると
あっ、わかったと思える瞬間が訪れますが、
それを換言しようとすると、
消えてなくなっている、ということもあります。

そういえば、エリック・ドルフィーが
これに似たことを言っていますねえ。
ジャズみたいなものですよ
詩作もそうですが、
解釈にも、そんな瞬間性があります。

詩人が、いろいろな言い方で主張している、
あの、
名辞以前の世界とか、
言葉なき世界とか……、
ということが
そこにあるからでしょうか

元来、詩とは、
ほかの言葉に置き換えられない言葉でつくられたものですから、
中也の詩だから、いっそう、そうですから、
詩の言葉が
容易に他の言葉に置き換えられるわけがありません。
つかまえた! と思った途端に逃げてしまいます。

第3連の、
汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

このあたりで、
以上のような感覚で
受け止めることが多いのですが

詩の最後は、
いたいたしくも怖気づき
なすところもなく日は暮れる……
と、傷つき、途方に暮れている青年の姿が現れ、
ストンと
その青年に共感している自分に出くわします。

このように、
この詩と出会った人々が
無数に存在するように思えてなりません。

 *
 汚れつちまつた悲しみに……

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日は風さえ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとえば狐の革裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる…

(角川文庫クラシックス 佐々木幹郎編「中原中也詩集『山羊の歌』より)

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