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2008年12月11日 (木)

長男文也の死をめぐって/月の光

詩集「在りし日の歌」の章「永訣の秋」の16篇の、
発表メディア、制作年を見ておきます。

 

ゆきてかへらぬ—京都—    四季、昭和11年11月号
                          11年9月?
一つのメルヘン      文芸汎論、昭和11年11月号
                          11年9月?
幻影               文学界、昭和11年11月号
                          11年9月?
あばずれ女の亭主が歌つた 歴程、昭和11年11月号
                          11年9月号
言葉なき歌           文学界、昭和11年12月号
                          11年10月?
月夜の浜辺          新女苑、昭和12年2月号
                          11年12月?
また来ん春……        文学界、昭和12年2月号
                                 11年11月中旬~12月下旬?
月の光 その一        文学界、昭和12年2月号 
                                 11年11月中旬~12月下旬?  
月の光 その二        文学界、昭和12年2月号
                                 11年11月中旬~12月下旬?
村の時計              四季、昭和12年3月号
                              8年10月10日
或る男の肖像           四季、昭和12年3月号
                            8年10月10日
冬の長門峡             文学界、昭和12年4月号
                             11年12月24日
米子                    ペン、昭和11年12月
                             11年10月中旬?
正午 丸ビル風景         文学界、昭和12年10月号
                             12年8月?
春日狂想               文学界、昭和12年5月号
                             12年3月
蛙声                   四季、昭和12年7月号
                              12年5月14日

 

 * 「中原中也必携」調べ、吉田煕生編、学燈社、1979年
 * ?のあるものは、推定を意味します。

 

それぞれが雑誌などに発表されましたが、
そのうち、
文也の死んだ昭和12年11月10日より後に
作られたものが、
追悼詩の可能性がありますが、
追悼詩ではないものも、当然、あります。

 

文也の死以前に制作されたものを除くと、
追悼詩であろうと推定されるのが、以下、

 

「月夜の浜辺」  
「また来ん春……」
「月の光 その一」
「月の光 その二」
「冬の長門峡」  
「春日狂想」   
「蛙声」     
の、7篇に絞られます。

 

この他に、詩集に載らなかった
未発表詩篇にも、
いくつかの追悼詩はあります。

 

(この稿、つづく)

 

 *
 月の光 その一

 

月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた

 

  お庭の隅の草叢(くさむら)に
  隠れてゐるのは死んだ児だ

 

月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた

 

  おや、チルシスとアマントが
  芝生の上に出て来てる

 

ギタアを持つては来てゐるが
おつぽり出してあるばかり

 

  月の光が照つてゐた
  月の光が照つてゐた

 

 *
 月の光 その二

 

おゝチルシスとアマントが
庭に出て来て遊んでる

 

ほんに今夜は春の宵(よひ)
なまあつたかい靄(もや)もある

 

月の光に照らされて
庭のベンチの上にゐる

 

ギタアがそばにはあるけれど
いつかう弾き出しさうもない

 

芝生のむかふは森でして
とても黒々してゐます

 

おゝチルシスとアマントが
こそこそ話してゐる間

 

森の中では死んだ子が
蛍のやうに蹲(しやが)んでる

 

(角川文庫クラシックス 佐々木幹郎編「中原中也詩集『在りし日の歌』より)

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