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2009年1月24日 (土)

季節のない歌/空の歌2

「この小児」には
季節を断定する詩句語句が
見当たりません。
代わりに
目立つのが
「空」です。

そこで、この詩を
「空の歌」のグループに
分類することにし、
ついでに、ここで
「山羊の歌」(44作品)
「在りし日の歌」(58作品)から
「空の歌」を集めてみましたら、
あります! あります!

「空」の文字が登場する詩は
ざっと数えて41篇。
2詩集の約4割に
「空」は現れます。

この「空」を
じっと眺めていると
気づくことは、

一つに、
自然としての空。
一つに、
宗教的な空。

2種類の空がある、
ということです。

宗教的な空、は
形而上的な空、
あるいは哲学的な空、と
読んでもいいかもしれません。

たとえば、
「朝の歌」(山羊の歌)の
小鳥らの うたはきこえず
空は今日 はなだ色らし、

この「空」は、
自然としての空です。

いっぽう、たとえば、
「春の日の歌」(在りし日の歌)の
流(ながれ)よ、淡(あは)き 嬌羞(けうしう)よ、
ながれて ゆくか 空の国?

この空は
宗教的な空です。
自然の空以上の意味が
込められています。

(つづく)

 *
 この小児
コボルト空に往交(ゆきか)へば、
野に
蒼白の
この小児。

黒雲空にすぢ引けば、
この小児
搾(しぼ)る涙は
銀の液……

     地球が二つに割れゝばいい、
     そして片方は洋行すればいい、
     すれば私はもう片方に腰掛けて
     青空をばかり――

花崗の巌(いはほ)や
浜の空
み寺の屋根や
海の果て……

*コボルト Kobold(独) ドイツの伝説に現れる鉱山の地霊。または、いたずら好きな家の精。

(角川文庫クラシックス 佐々木幹郎編「中原中也詩集『在りし日の歌』」より)

*編者注 原作第3連第2行の「もう片方」には、傍点が付されてあります。

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