カテゴリー

2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 中原中也関連の新刊情報 | トップページ | 詩の入り口について/凄じき黄昏<5> »

2009年3月 1日 (日)

詩の入り口について/凄じき黄昏<4>

「凄じき黄昏」は
昭和4年(1929)7月発行の
「白痴群」第2号に発表されました。

これは、後で知った発見だったのですが
「ためいき」も
同じ号に発表されています。

ということで
俄然、「白痴群」第2号が注目されまして、
探してみると、ほかに
「深夜の思ひ」
「秋の一日」
「夕照」がありました。

この5作品は、
なんらかの類縁性がある、
少なくとも、「白痴群」第2号に掲載された
という類縁性があることを知りました。

ことさらに
「ためいき」と「凄まじき黄昏」の類縁性は
まったく偶然ながら
「どこか似ている!」との直感を抱いたのですが
この直感は
中原のイメージは
決して生得環境的なものではなくて、
いわば教養的なもの……
と見なす河上徹太郎の説を
ヒントに導きだされたことは
特筆しておきたいことです。

ついでに
「白痴群」全6号に載った
中原中也の作品を
見ておきましょう。

創刊号 昭和4年4月
    「寒い夜の自我像」
第2号 昭和4年7月
    「秋の一日」
    「深夜の思ひ」
    「凄じき黄昏」
    「夕照」
    「ためいき」
第3号 昭和4年9月
    「木蔭」
    「夏」
第4号 昭和4年11月
    「心象」
第5号 昭和5年1月
    「冬の雨の夜」
    「みちこ」
    「修羅街輓歌」
第6号 昭和5年4月
    「盲目の秋」
    「わが喫煙」
    「妹よ」
    「寒い夜の自画像」
    「失せし希望」
    「汚れつちまつた悲しみに……」
    「無題」
    「更くる夜」
    「つみびとの歌」
    「秋」
    「雪の宵」
    「生ひたちの歌」
    「時こそ今は……」

以上、「中原中也必携」(吉田凞生編、学燈社)調べ。
    

(つづく)

 *
 凄じき黄昏

捲き起る、風も物憂き頃ながら、
草は靡(なび)きぬ、我はみぬ、
遐(とほ)き昔の隼人(はやと)等を。

銀紙(ぎんがみ)色の竹槍の、
汀(みぎは)に沿ひて、つづきけり。
——雑魚(ざこ)の心を俟(たの)みつつ。

吹く風誘はず、地の上の
敷きある屍(かばね)——
空、演壇に立ちあがる。

家々は、賢き陪臣(ばいしん)、
ニコチンに、汚れたる歯を押匿す。

(佐々木幹郎編「中原中也詩集『山羊の歌』」角川文庫クラシックスより)

« 中原中也関連の新刊情報 | トップページ | 詩の入り口について/凄じき黄昏<5> »

0001はじめての中原中也」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 詩の入り口について/凄じき黄昏<4>:

« 中原中也関連の新刊情報 | トップページ | 詩の入り口について/凄じき黄昏<5> »