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2010年1月14日 (木)

1931年の詩篇<25>秋の日曜

詩人・中原中也は
1931年7月に
千駄ヶ谷町千駄ヶ谷872高橋方で
下宿生活をはじめました。

小田急の南新宿駅そばで、
新宿のデパートの屋上の
アドバルーンが見える位置に
下宿の部屋はありました。

三越でしょうか
伊勢丹でしょうか
ほかの場所にあがった
アドバルーンでしょうか……

「秋の日曜」は、
「早大ノート」に書かれた
1931年制作(推定)の詩の
最後の作品です。

ドロドロしたものが
微塵(みじん)もなく
穏やかで
爽やかで
透明で
澄んだ
秋の
日曜日の
幸福感に満ちた詩を
悲しみの詩人は
どのようにして
作ることができたのでしょうか……

繰り返し
読んでいるうちに
心の底から
温まってきて
ジーンと
こみあげてくるものがあります。

最終連、

あの貞順な奥さんも
昔の喜びに笑ひいでる。

の、
貞順な奥さんは
きっと
長谷川泰子のことでしょう、

その泰子も、
昔の一時(いっとき)を
思い出しては
幸福な笑いの中に
あるのです。

すでに、
2009年5月21日付けで
一度読みましたが、
不作と言われた
1931年の詩篇にも
こうした名作があります。

 *
 秋の日曜 

私の部屋の、窓越しに
みえるのは、エア・サイン
軽くあがつた 二つの気球

青い空は金色に澄み、
そこから茸(きのこ)の薫りは生れ、
娘は生れ夢も生れる。

でも、風は冷え、
街はいつたいに雨の翌日のやうで
はじめて紹介される人同志はなじまない。

誰もかも再会に懐しむ、
あの貞順な奥さんも
昔の喜びに笑ひいでる。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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