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2010年1月 7日 (木)

1931年の詩篇<16>(月はおぼろにかすむ夜に)

20091103_076

1931年に作られたと推定されている詩を
読み始めたのは
この年1931年(昭和6年)に
満州事変が起こり、
15年戦争という
無謀で野蛮で悲惨な営みに
日本という国が突き進んでいった年であり、

この年に
中原中也は
どんな状態だったのか
どんな詩を作っていたのか
(われ等のヂェネレーションには仕事がない)を
読んだのが
そのきっかけでしたが、

「早大ノート」や
「草稿詩篇」の
1931年制作(推定)の詩篇を
はじめから順に読み進めて、
満州事変のころの
社会に関わる詩に至るまでには
あと一つ、
(月はおぼろにかすむ夜に)を読むばかりになりました。

「悲しき画面」で
「過去」を歌い、
「雨と風」「風雨」で
「ありし日」へと遡(さかのぼ)った詩人は、

いったん、
ここで引き返して
戦争へ向かうこの国の現実社会に
目を向けたかのように、
(秋の夜に)
(支那といふのは、吊鐘の中に這入つてゐる蛇のやうなもの)
(われ等のヂェネレーションには仕事がない)
の3作を立て続けに書くのですが、

満州事変は
9月18日に勃発し、
この頃、
弟の恰三が急死し(9月26日)
(ポロリ、ポロリとしんでゆく)
(疲れやつれた美しい顔よ)
(死別の翌日)
という3作の哀悼詩も書きます。

この、
戦争(およびその背景)に言及した3作と
弟の追悼詩3作の間に
わずか2行の
未完成詩(月はおぼろにかすむ夜に)は
あります。

このあたりの事情を知って読むと
この2行詩が
どこかしら
意味深長に見えてくるから
これまた興味深いもの
と言わざるをえません。

 * 
(月はおぼろにかすむ夜に)

月はおぼろにかすむ夜に
杉は、梢を 伸べてゐた。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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