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2010年4月 7日 (水)

療養日誌に書かれた詩篇・(丘の上サあがつて、丘の上サあがつて)

昭和12年(1937)、
1月9日から2月15日までの、
短くはない期間を
中原中也は、
千葉市にあった中村古峡療養所の
精神科および神経科へ入院しました

入院中に書き残した日記が、
平成11年、中村古峡記念病院(旧・療養所)で発見され、
「療養日誌」と呼ばれています

院長の中村古峡が
患者に与え
日々の行動などを書かせて
療養の指針にしたもので
中也の日誌は、
1月25日(月曜日)から31日(日曜日)までの
1週間分が記されていました

1月30日の日記の末尾に
(丘の上サあがつて、丘の上サあがつて)が
書き留められていました

この日、
精神科で療養していた詩人は
初めて野外作業を許可され、
そのことを、記した日記は
喜びに溢れていて、

「小父さんと二人で山の掃除。なんだか夢のやうに嬉しかつた。庭を掃くことは元来嫌ひではございません。(略)」

などと記しています

山の掃除は、
作業療法の一つ。
療養所は、
道修山という小さな山の上に建っていて
そこからは
千葉県庁が遠望され
ルネッサンス式の庁舎の中央には
銅で葺いたドームが見えました
作品中の「緑のお碗」は
このドームのことです

詩人は
この詩を「俚謡」(りよう)と
呼んでいます

山の上から見えた
千葉県庁のドームが
雨に濡れて
つやが出ている、と
それだけのことを歌っていますが
詩人の嬉しさがにじみ出ていて
よかったなあ!と
詩人の気持ちが
乗り移ってくるようです

 *
 (丘の上サあがつて、丘の上サあがつて)

丘の上サあがつて、丘の上サあがつて、
 千葉の街サ見たば、千葉の街サ見たばヨ、
県庁の屋根の上に、県庁の屋根の上にヨ、
 緑のお碗が一つ、ふせてあつた。
そのお碗にヨ、その緑のお碗に、
 雨サ降つたば、雨サ降つたばヨ、
つやがー出る、つやがー出る

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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