全詩鑑賞への見通しについて
未発表詩篇の「草稿詩篇(1933年―1936年)」を読み終えたところで
中原中也の全詩(短歌含む)を展望してみましょう。
今、中也の詩のどのあたりを読んでいるのか
今後、どのように読み進んでいくのか
おおざっぱに、その方向をつかんでおきたいと思います
第一詩集「山羊の歌」(生前発行)は44篇★
第二詩集「在りし日の歌」(死後発行)は58篇★
合同歌集「末黒野」に「温泉集」と題して自選発表した短歌28首●
生前発表詩篇は40篇▲
主に「防長新聞」に発表し、死後、初期短歌として収集された短歌78首●
未発表詩篇は
「ダダ手帖(1923―1924)」に2篇★
「ノート1924(1924―1928)」に51篇▲
「草稿詩篇(1925―1928)」に20篇▲
「ノート小年時(1928―1930)」に16篇▲
「早大ノート(1930―1937)」に42篇★
「草稿詩篇(1931―1932)」に13篇★
「ノート翻訳詩(1933)」に9篇▲
「草稿詩篇(1933―1936)」に65篇★
「療養日誌・千葉寺雑記(1937)」に5篇★
「草稿詩篇(1937)」に6篇★
以上の分類は
角川書店版全集(新旧とも)に基づいています
★は読み終えたもの
▲は何篇かを読み始めているもの
●は一つも読んでいないものとなりますが
「草稿詩篇(1933―1936)」の65篇は
1冊の詩集が編纂できるほどの
数であることがわかります
「ノート1924」の51篇
「早大ノート(1930―1937)」の42篇も同じで
未発表詩篇であり
未完成作が多いとはいえ
これだけでも
数字的には詩集3冊分以上の作品があることになります
生前発表詩篇の40篇も同じで
これを合わせれば
4冊分の詩集ができる数になります
生前発表詩篇は
詩人の生存中に
雑誌・詩誌・新聞などに
発表した完成作ばかりですから
「影の第三詩集」と呼べるものかもしれません
このうちの約7割をすでに読み終え
未発表詩篇のグループを読んでいる途中ですが
次に何を読もうかと考えたときに
読む順序として
読む戦略として
京都時代にさかのぼるより
やはり東京の生活から生れた詩を
先に読んだほうがほうがよいのか
いったん京都時代の作品まで遡って
あるいは
それ以前の作品が多い
短歌に遡って
時系列に読み進めようか
――などと考えをめぐらせました
その結果
1、「草稿詩篇(1925―1928)」
2、「ノート小年時(1928―1930)」
3、「ノート1924(1924―1928)」
4、「ノート翻訳詩(1933)」
5、短歌
6、生前発表詩篇
という道筋が見えてきました
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