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2011年4月28日 (木)

ダダ詩「ノート1924」の世界<37-2>(58号の電車で女郎買に行つた男が)

(58号の電車で女郎買に行つた男が)を書いた頃
詩人に
なんらかの事件が起きたのではないか、と
推測してもおかしくはないのは
雹(ひょう)を登場させたり
(「天からウヅラ豆」が雹のことだとして)

女郎買い
梅毒
そして
自殺……と
穏やかではない事象が
書き連ねられていたりするからですが

もう一つは
これが書かれた筆跡が
前作以前の筆跡と
大きく変化しているという事実です

前作(過程に興味が存するばかりです)に比べて
文字が大きくなり
筆跡も異なっているのは
(58号の電車で女郎買に行つた男が)と
(過程に興味が存するばかりです)との制作時期が
連続していないことを示している、と
角川・新全集編集は解説しているのです

この不連続のウラに
何があったのでしょうか

今日天からウヅラ豆が
畠の上に落ちてゐました

のです。
雹(ひょう)が降ったのです
雹の襲来(しゅうらい)です。

雹の襲来とは
ズバリ
富永太郎との出会いです!

近辺の文学仲間を揶揄(やゆ)したけれど
今日初めて話した
富永太郎というヤツはちょっと違うぞ
氷の塊が
ザーッと降ってきたのを見たような
妙な爽快感があるぞ

この時が初対面だったのかは分かりませんが
やがて多大な影響を被ることになる
詩人・富永太郎を
ダダイスト詩人は
手ばなしで褒めちぎるわけにはいかず
しかし畏怖に似たものを感じて
うずら豆が天から落ちた、と
さりげないエールを送りました

 *
 (58号の電車で女郎買に行つた男が)

58号の電車で女郎買に行つた男が
梅毒になつた
彼は12の如き沈黙の男であつたに

腕 々 々
交通巡査には煩悶はないのか
自殺せぬ自殺の体験者は
障子に手を突込んで裏側からみてゐました
アカデミッシャンは予想の把持者なのに……
今日天からウヅラ豆が
畠の上に落ちてゐました

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

Senpuki04
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