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2011年4月 7日 (木)

ダダ詩「ノート1924」の世界<26> (バルザック)

芸術論を
応戦しなければならない時には
ストレートな物言いになって
ダダイズムは後退しましたが
さて
一通り言うべき最低限を言ってしまってからは
ダダダダダーーーンと
またダダイズムの詩が現れます

バルザックは
中原中也にとって
象徴詩以前
詩以前の
散文家ですが
詩人は
高く評価し
尊敬の念さえ抱いていた
文豪です

と指摘するのは
大岡昇平ですから

中原中也第一次情報とみなしても
おかしくないほど信憑性(しんぴょうせい)は高い
かな?

ところが
(バルザック)は
手放しで
文豪を褒めているものではないようで
むしろ
批判しているみたいです

収縮する
胃病
病気
退屈は嫌で嫌で
悟った
……

はっきりとは掴めませんが
肯定的ではなく
否定的な語句が並びます

涙と仁丹は
同じものですか
空を見りゃ
涙か仁丹か
真ん丸の粒
雨が降ってくる、のですから……

難解になった分
ダダ詩としての完成度は
高くなった感じです
イメージが拡散しないで
収斂(しゅうれん)していきます


 *
 (バルザック)

バルザック
バルザック
腹の皮が収縮する
胃病は明治時代の病気(モノ)らしい
そんな退屈は嫌で嫌で

悟つたつて昴奮するさ
同時性が実在してたまるものか

空をみて
涙と仁丹
雨がまた降つて来る

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

Senpuki04
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