ダダ詩「ノート1924」の世界<26> (バルザック)
芸術論を
応戦しなければならない時には
ストレートな物言いになって
ダダイズムは後退しましたが
さて
一通り言うべき最低限を言ってしまってからは
ダダダダダーーーンと
またダダイズムの詩が現れます
バルザックは
中原中也にとって
象徴詩以前
詩以前の
散文家ですが
詩人は
高く評価し
尊敬の念さえ抱いていた
文豪です
と指摘するのは
大岡昇平ですから
ま
中原中也第一次情報とみなしても
おかしくないほど信憑性(しんぴょうせい)は高い
かな?
ところが
(バルザック)は
手放しで
文豪を褒めているものではないようで
むしろ
批判しているみたいです
収縮する
胃病
病気
退屈は嫌で嫌で
悟った
……
はっきりとは掴めませんが
肯定的ではなく
否定的な語句が並びます
涙と仁丹は
同じものですか
空を見りゃ
涙か仁丹か
真ん丸の粒
雨が降ってくる、のですから……
難解になった分
ダダ詩としての完成度は
高くなった感じです
イメージが拡散しないで
収斂(しゅうれん)していきます
*
(バルザック)
バルザック
バルザック
腹の皮が収縮する
胃病は明治時代の病気(モノ)らしい
そんな退屈は嫌で嫌で
悟つたつて昴奮するさ
同時性が実在してたまるものか
空をみて
涙と仁丹
雨がまた降つて来る
(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)
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