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2011年4月23日 (土)

ダダ詩「ノート1924」の世界<34> (概念が明白となれば)

前作(ダダイストが大砲だのに)で

私は如何(どう)せ恋なんかの上では
概念の愛で結構だと思つてゐますに

理解は悲哀です
概念形式を齎(もたら)しません

と、2度、「概念」の語を使ったダダイスト詩人は
この題名のない作品(概念が明白となれば)で
引き続いて
「概念」にこだわり
冒頭連から

概念が明白となれば
それの所産は観念でした

と歌いますのは
「観念」を引き出すためのようでした
詩人は「観念」は「概念」の所産である
といいたかったのです

恋なんて
概念の愛で結構
といったばかりですから
観念の恋愛も
焼いた砂のようだし
散らかってもしょうがないから
紙に包んで棄てましょう、と
いうのは自然の成り行きです

ああ
馬鹿なのは美人か
美人は馬鹿なのか
人間に倦怠がなければねえ
彼岸の見えない大きな川があればねえ

反省していても
嘆きにしかなりませんよ
それよりも
自分と過去なんて忘れてしまって
他人と一緒に描ける自分との
未来の恋をみつめて進むんだ

ほらこんなに
(観念の上では)
恋上手なのに
なぜいつも結果は下手になるんだろ
女よ
そこのところを教えてくれよ
たのんます!

そう言われたって
観念の愛だの
概念の恋だの
女はそんなもの
好きになれるわけないじゃんすか
ダダっこさん
と泰子さんが笑っているのが見えるようです

 *
 (概念が明白となれば)

概念が明白となれば
それの所産は観念でした

観念の恋愛とは
焼砂ですか
紙で包んで
棄てませう

馬鹿な美人
人間に倦きがなかつたら
彼岸の見えない川があつたら

反省は詠嘆を生むばかりです
自分と過去とを忘れて
他人と描ける自分との
恋をみつめて進むんだ

上手者なのに
何故結果が下手者になるのでせう
女よそれを追及して呉れ

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

Senpuki04
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