ダダ詩「ノート1924」の世界<32> (頁 頁 頁)
時には口論になり
立派な男ならたんまりいますわ、と
啖呵をきられた揚句
女に出て行かれてしまって
やや反省の気分になっている詩人は
歴史、習慣、社会意識……といった
詩人にしてみれば世俗の
名誉欲を批判することによって
名誉を得ることもある
転倒した世界を思いやり
戻ってくるのは
「認識以前」でした
その徹底でした
認識以後
とりわけ19世紀以降
人々の土台になるのは
いつも性欲もしくは性欲みたいなものでした
その上にすべての価値は築かれて
ものは言われました
○××× ○××× ○×××
飴に皮があるとでも言うんですかってな調子で
飴ばかり
皮のない飴が求められる世界です
女よ
だからさ
ダダイストを愛せよ
ダダイストは
あくまでも
認識以前を徹底しますぞ。
詩人の言う徹底とは
追求である以上に
実践でした
実践とは
詩でした。
*
(頁 頁 頁)
頁 頁 頁
歴史と習慣と社界意識
名誉欲をくさして
名誉を得た男もありました
認識以前の徹定
土台は何時も性慾みたいなもの
上に築れたものゝ価値
十九世紀は土台だけをみて物言ひました
○××× ○××× ○×××
飴に皮がありますかい
女よ
ダダイストを愛せよ
(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)
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