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2011年5月26日 (木)

<再読>失せし希望/空の月は泰子

「山羊の歌」の中の
「少年時」を読み直しています。
一度、読みましたが
読み足りなかった部分を
少しだけ補いました。

  ◇

昭和5年(1930)4月「白痴群」第6号に載った作品です。
同号の発行で「白痴群」は廃刊になりました。

同号にはこの他に
「盲目の秋」
「わが喫煙」
「妹よ」
「汚れつちまつた悲しみに……」
「無題」
「更くる夜」
「つみびとの歌」
「雪の宵」
「生ひたちの歌」
「時こそ今は……」が掲載されました。

この号に発表された作品の大半が
中原中也の詩ということになり
中也の独壇場の観がありますが
逆の意味で
グループ「白痴群」の危機であったことを示しています。

暗い空へ
ぼくの若き日の希望は
消えていってしまった
(泰子との暮らしが終わってしまったことを、若き日の希望が消えた、と一般化して表現しています)

夏の夜の星のように
いまも遠くの空に見え隠れしている
ぼくの若き日の夢、希望

今は
はたとここに打ち伏して
獣のように、暗い思いに浸る

その思いは
いつになれば晴れるのやら分かりもしない

夜の海に溺れながら
空に浮かんだ月を見るようだ

波はあまりに深く
月はあまりに清い

ああ
暗い空へ
ぼくの若き日の希望は
消えていってしまった

直訳すると
こんな風になりますが
希望の消えた先は夏の夜空です

空へ、
ここでも
詩人の眼差しは向かいますが
ここにも
祈りがあります。

空の月は
泰子らしい……。
そう読まなくても
OKですが。
ここは
そう読んだほうが
すんなりします。

 *

 失せし希望

暗き空へと消え行きぬ
  わが若き日を燃えし希望は。

夏の夜の星の如くは今もなほ
  遐(とほ)きみ空に見え隠る、今もなほ。

暗き空へと消えゆきぬ
  わが若き日の夢は希望は。

今はた此処(ここ)に打伏して
  獣の如くは、暗き思ひす。

そが暗き思ひいつの日
  晴れんとの知るよしなくて、

溺れたる夜(よる)の海より
  空の月、望むが如し。

その浪はあまりに深く
  その月はあまりに清く、

あはれわが若き日を燃えし希望の
  今ははや暗き空へと消え行きぬ。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

Senpuki04
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