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2011年12月31日 (土)

大晦日に読んでおきたい中原中也の詩「除夜の鐘」

 除夜の鐘

除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜(よる)の空気を顫(ふる)はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。

それは寺院の森の霧つた空……
そのあたりで鳴つて、そしてそこから響いて来る。
それは寺院の森の霧つた空……

その時子供は父母の膝下(ひざもと)で蕎麦(そば)を食うべ、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出、
その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ。

その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。
その時囚人は、どんな心持だらう、どんな心持だらう、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。

除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜(よる)の空気を顫(ふる)はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

 
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