新春に読んでおきたい中原中也の詩・その10「砂漠」
砂漠
砂漠の中に、
火が見えた!
砂漠の中に、
火が見えた!
あれは、なんでがな
あつたらうか?
あれは、なんでがな
あつたらうか?
陽炎(かげろう)は、襞(ひだ)なす砂に
ゆらゆれる。
陽炎は、襞なす砂に
ゆらゆれる。
砂漠の空に、
火が見えた!
砂漠の空に、
火が見えた!
あれは、なんでがな
あつたらうか?
あれは、なんでがな
あつたらうか?
疲れた駱駝(らくだ)よ、
無口な土耳古人(ダツチ)よ、
あれは、なんでがな
あつたらうか?
疲れた駱駝は、
己が影みる。
無口な土耳古人(ダツチ)は
そねまし目をする。
砂漠の彼方(かなた)に、
火が見えた!
砂漠の彼方に、
火が見えた!
(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)
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