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2012年1月13日 (金)

新春に読んでおきたい中原中也の詩・その10「砂漠」

 砂漠

砂漠の中に、
 火が見えた!
砂漠の中に、
 火が見えた!
        あれは、なんでがな
         あつたらうか?
        あれは、なんでがな
         あつたらうか?
陽炎(かげろう)は、襞(ひだ)なす砂に
 ゆらゆれる。
陽炎は、襞なす砂に
 ゆらゆれる。
        砂漠の空に、
         火が見えた!
        砂漠の空に、
         火が見えた!
あれは、なんでがな
 あつたらうか?
あれは、なんでがな
 あつたらうか?
        疲れた駱駝(らくだ)よ、
         無口な土耳古人(ダツチ)よ、
あれは、なんでがな
 あつたらうか?
        疲れた駱駝は、
         己が影みる。
          無口な土耳古人(ダツチ)は
         そねまし目をする。

砂漠の彼方(かなた)に、
 火が見えた!
砂漠の彼方に、
 火が見えた!

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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