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2012年1月19日 (木)

新春に読んでおきたい中原中也の詩・その16(南無ダダ)

 (南無 ダダ)

南無 ダダ
足駄なく、傘なく
  青春は、降りこめられて、

水溜り、泡(あぶく)は
  のがれ、のがれゆく。

人よ、人生は、騒然たる沛雨に似てゐる
  線香を、焚いて
      部屋にはゐるべきこと。

色町の女は愛嬌、
 この雨の、中でも挨拶をしてゐる
青い傘
  植木鉢も流れ、
    水盤も浮み、
 池の鯉はみな、逃げてゆく

永遠に、雨の中、町外れ、出前持ちは猪突(ちょとつ)し、
      私は、足駄なく傘なく、
    茲(ここ)、部屋の中に香を焚いて、
 チウインガムも噛みたくはない。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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