新春に読んでおきたい中原中也の詩・その19「雪が降ってゐる……」
雪が降ってゐる……
雪が降ってゐる、
とほくを。
雪が降ってゐる、
とほくを。
捨てられた羊かなんぞのように
とほくを、
雪が降ってゐる、
とほくを。
たかい空から、
とほくを、
とほくを
とほくを、
お寺の屋根にも、
それから、
お寺の森にも、
それから、
たえまもなしに。
空から、
雪が降ってゐる
それから、
兵営にゆく道にも、
それから、
日が暮れかゝる、
それから、
喇叭(らつぱ)がきこえる。
それから、
雪が降ってゐる、
なほも。
(一九二九・二・一八)
(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)
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