新春に読んでおきたい中原中也の詩・その23「寒い!」
寒い!
毎日寒くてやりきれぬ。
瓦もしらけて物云はぬ。
小鳥も啼かないくせにして
犬なぞ啼きます風の中。
飛礫(つぶて)とびます往還は、
地面は乾いて艶もない。
自動車の、タイヤの色も寒々と
僕を追ひ越し走りゆく。
山もいたつて殺風景、
鈍色(にびいろ)の空にあつけらかん。
部屋に籠れば僕なぞは
愚痴つぽくなるばかりです。
かう寒くてはやりきれぬ。
お行儀のよい人々が、
笑はうとなんとかまはない
わめいて春を呼びませう………
(一九三五・二)
(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)
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