2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

ブログランキング参加中です

中原中也を歌う(曲と歌:桜木うさこさん)

電子書籍

無料ブログはココログ

« 中原中也が訳したランボー「飢餓の祭り」Fêtes de la Faimその4 | トップページ | 中原中也が訳したランボー「海景」Marineその2 »

2012年5月12日 (土)

中原中也が訳したランボー「海景」Marine

中原中也訳「ランボー詩集」「飾画篇」の
末尾にあるのが「海景」Marineです。
全15篇の最終詩です。

色々と御託を言う前に
この詩を読んでみれば
またも
ランボーの詩に
意表を突かれるという経験を味わうことになることでしょう。

まずは、
詩を読んでみます。
タイトルは
Marineで
中原中也は
「海景」と訳していることを
念頭に入れておきます。

銀(色)の戦車や胴(色)の戦車、
鋼鉄の船首や銀製の船首、
泡を打ち、
茨の根株を掘り返す。

海の景色のはずなのに
なぜ
大きな海が見えずに
浅瀬らしき地形に乗り入れる戦車や船が
泡を打ち砕き
茨を根こそぎにして進んでいくのだろう?

そのような
疑問にとらわれながら
読み進みます。

荒野を戦車、戦艦が行進する、
干潮で干上がった入り江に、巨大な轍の跡がついて、
円弧を描いて東の方へ、
森の柱の部分へ、波止場の胴体部へ、
繰り出している、
波止場の稜線は、陽の光を浴びて、ゴツゴツになっている。

潮が引いた港湾の
荒涼とした風景を
戦車や軍艦が行進する――。

夢なのか現(うつつ)なのか
イリュージョンなのか

普仏戦争の一戦場を
雑誌か何かの印刷物で見た
その記憶の再現なのか――。

言葉の錬金術が
またしても
わずか10行で誘い出す
幻想の世界。

そこには
海でない陸、陸でない海
――ではなく、

海である陸、陸である海
――が存在するばかりで、
そこに陽は燦々と降っています。

この見覚えのあるイメージは
2012年の今日ならば

津波に襲われた街に
乗り上げたまま動かない漁船。
燦々と降り注ぐ陽光。

――に行き着きます。

 *

 海景

銀の戦車や銅(あかがね)の戦車、
鋼(はがね)の船首や銀の船首、
泡を打ち、
茨の根株を掘り返す。

曠野の行進、
干潮の巨大な轍(あと)は、
円を描いて東の方へ、
森の柱へ波止場の胴へ、
くりだしてゐる、
波止場の稜は渦巻く光でゴツゴツだ。

(講談社文芸文庫「中原中也全訳詩集」より)
※ルビは原作にあるもののみを( )の中に入れました。編者。

にほんブログ村:「詩集・句集」人気ランキングページへ
(↑ランキング参加中。記事がおもしろかったらポチっとお願いします。やる気がでます。)

« 中原中也が訳したランボー「飢餓の祭り」Fêtes de la Faimその4 | トップページ | 中原中也が訳したランボー「海景」Marineその2 »

中原中也が訳したランボー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1047491/45235271

この記事へのトラックバック一覧です: 中原中也が訳したランボー「海景」Marine:

« 中原中也が訳したランボー「飢餓の祭り」Fêtes de la Faimその4 | トップページ | 中原中也が訳したランボー「海景」Marineその2 »