ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々15
(前回からつづく)
「草稿詩篇(1933年―1936年)」には
65篇の詩が収められていますから
草稿詩篇という分類で詩数が最多です。
ちなみに詩数の多い大分類を見れば
「山羊の歌」は44篇
「在りし日の歌」は58篇
「生前発表詩篇」は40篇
「ノート1924」は51篇
「早大ノート」は42篇などとなっています。
26歳(1933年)から29歳(1936年)までの詩が収録されています。
30歳で亡くなる詩人の未発表詩篇で
「晩年」の詩が通覧できることになります。
◇
それらの詩篇に現われる「色」を見ましょう。
(ああわれは おぼれたるかな)
けなげなる小馬の鼻翼
紫の雲のいろして
(形式整美のかの夢や)
我や白衣の巡礼と
(とにもかくにも春である)
薔薇色の埃りの中に、車室の中に、春は来、睡っている。
「夏過けて、友よ、秋とはなりました」
僕は酒場に出掛けた、青と赤との濁った酒場で、
「いちじくの葉」
葉は、乾いている、ねむげな色をして
空はしずかに音く、
※「音く」は、「青く」「暗く」「沓く」などの誤記と推定されています。
(小川が青く光っているのは)
小川が青く光っているのは、
あれは、空の色を映しているからなんだそうだ。
あの唇黒い老婆に眺めいらるるままに。
レールが青く光っているのは、
あれは、空の色を映して青いんだそうだ。
「朝」
かがやかしい朝よ、
紫の、物々の影よ、
つめたい、朝の空気よ、
灰色の、甍よ、
水色の、空よ、
風よ!
風よ!
水色の、空よ、
灰色の、甍よ、
つめたい、朝の空気よ、
かがやかしい朝
紫の、物々の影よ……
「秋岸清凉居士」
あれはなんとかいう花の紫の莟みであったじゃろ
あれはなんとかいう花の紫の莟か知れず
いつの日か手の掌(ひら)で揉んだ紫の朝顔の花の様に
「悲しい歌」
蝦茶色の憎悪がわあッと跳び出して来る。
みんな貯まっている憎悪のために、
色々な喜劇を演ずるのだ。
※「色々な」には傍点が振られています。
(海は、お天気の日には)
海は、お天気の日には、
金や銀だ。
「星とピエロ」
銀でないものが銀のように光りはせぬ、青光りがするってか
そりゃ青光りもするじゃろう、銀紙じゃから喃(のう)
向きによっては青光りすることもあるじゃ、いや遠いってか
「誘蛾燈詠歌」
それではもう、僕は青とともに心中しましょうわい
くれないだのイエローなどと、こちゃ知らんことだわい
流れ流れつ空をみて赤児の脣(くち)よりなお淡(あわ)く
吹雪は瓦斯の光の色をしておりました
(一本の藁は畦の枯草の間に挟って)
空は青く冷たく青く
玻璃にも似たる冬景であった
◇
ここまでで半分くらいを読みました。
読んだといっても
「色」の記述を拾っただけのことです。
ここにきて
中原中也の「色」の使い方の特徴について
なんらかのことが言えそうな気がしてきましたが
それは「草稿詩篇(1933年―1936年)を全部読んでからにします。
(つづく)
にほんブログ村:「詩集・句集」人気ランキングページへ
(↑ランキング参加中。記事がおもしろかったらポチっとお願いします。やる気がでます。)らポチっとお願いします。やる気がでます。)
« ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々16 »
「072中原中也が使った色々な色」カテゴリの記事
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々・最終回(2013.01.31)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々16(2013.01.30)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々15(2013.01.29)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14(2013.01.28)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13(2013.01.27)
« ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々16 »


コメント