ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々12
(前回からつづく)
「早大ノート(1930年―1937年」には
およそ7年の間に制作された42篇の詩が収められています。
すべての詩は未発表です。
ノートは第1ページから最終ページへと
整然と書き進められたものではなく
日時によってあっちこっちから書き起こされた形跡があって
これに全集編集委員会は綿密な考証を加えた結果
第1詩群=昭和5年9月~同6年9月中旬(制作推定)
第2詩群=昭和6年9月22日~同6月10日(制作推定)
第3詩群=昭和7年(制作推定)
第4詩群=昭和7年秋~同11年9月(制作推定)
第5詩群=昭和11年9月末~同11年10月1日(制作推定)
第6詩群=昭和12年4月15日~同12年5月14日(制作推定)
――という六つの詩群に分類しました。
第5詩群は、「酒場にて(初稿)」「酒場にて(定稿)」の2篇、
第6詩群は、「こぞの雪今いづこ」の1篇だけしかありませんが
「晩年」の作品を含んでいるということに引かれます。
「こぞの雪今いづこ」は
長男・文也死後に作られた詩です。
◇
これらの詩の中に現われる「色」をピックアップしましょう。
「干物」
外苑の舗道しろじろ、うちつづき、
「いちじくの葉」
いちじくの、葉が夕空にくろぐろと、
夕空に、くろぐろはためく
(風のたよりに、沖のこと 聞けば)
しらじらと夜のあけそめに、
雨風に、しらんだ船側(ふなばた)、
「悲しき画面」
それは、野兎色のランプの光に仄照(ほのて)らされて、
(吹く風を心の友と)
げんげの色のようにはじらいながら遠くに聞こえる
(秋の夜に)
世界は、呻き、躊躇し、萎み、
牛肉のような色をしている。
「コキューの憶い出」
あかあかと、あかあかと私の画用紙の上は、
「細 心」
白の手套(てぶくろ)とオリーヴ色のジャケツとを、
「秋の日曜」
青い空は金色に澄み、
(汽笛が鳴ったので)
白とオレンジとに染分けていた。
空は青く、飴色(あめいろ)の牛がいないということは間違っている。
僕の眼も青く、大きく、哀れであった。
(南無 ダダ)
青い傘
植木鉢も流れ、
◇
42篇にしては
「色」が現われる詩の数は少なく
その中でも目を引くのは
野兎色のランプの光
牛肉のような色
青い空は金色に澄み
――くらいでしょうか。
(つづく)
にほんブログ村:「詩集・句集」人気ランキングページへ
(↑ランキング参加中。記事がおもしろかったらポチっとお願いします。やる気がでます。)らポチっとお願いします。やる気がでます。)
« 狩野英子「別府湾の朝」ほか×A.ランボオ「ランボオ詩集」中原中也/訳 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13 »
「072中原中也が使った色々な色」カテゴリの記事
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々・最終回(2013.01.31)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々16(2013.01.30)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々15(2013.01.29)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14(2013.01.28)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13(2013.01.27)
« 狩野英子「別府湾の朝」ほか×A.ランボオ「ランボオ詩集」中原中也/訳 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13 »


コメント