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2013年1月26日 (土)

ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々12

(前回からつづく)

「早大ノート(1930年―1937年」には
およそ7年の間に制作された42篇の詩が収められています。
すべての詩は未発表です。

ノートは第1ページから最終ページへと
整然と書き進められたものではなく
日時によってあっちこっちから書き起こされた形跡があって
これに全集編集委員会は綿密な考証を加えた結果

第1詩群=昭和5年9月~同6年9月中旬(制作推定)
第2詩群=昭和6年9月22日~同6月10日(制作推定)
第3詩群=昭和7年(制作推定)
第4詩群=昭和7年秋~同11年9月(制作推定)
第5詩群=昭和11年9月末~同11年10月1日(制作推定)
第6詩群=昭和12年4月15日~同12年5月14日(制作推定)
――という六つの詩群に分類しました。

第5詩群は、「酒場にて(初稿)」「酒場にて(定稿)」の2篇、
第6詩群は、「こぞの雪今いづこ」の1篇だけしかありませんが
「晩年」の作品を含んでいるということに引かれます。

「こぞの雪今いづこ」は
長男・文也死後に作られた詩です。

◇

これらの詩の中に現われる「色」をピックアップしましょう。

「干物」
外苑の舗道しろじろ、うちつづき、

「いちじくの葉」
いちじくの、葉が夕空にくろぐろと、

夕空に、くろぐろはためく

(風のたよりに、沖のこと 聞けば)
しらじらと夜のあけそめに、

雨風に、しらんだ船側(ふなばた)、

「悲しき画面」
それは、野兎色のランプの光に仄照(ほのて)らされて、

(吹く風を心の友と)
げんげの色のようにはじらいながら遠くに聞こえる

(秋の夜に)
世界は、呻き、躊躇し、萎み、
牛肉のような色をしている。

「コキューの憶い出」
あかあかと、あかあかと私の画用紙の上は、

「細 心」
白の手套(てぶくろ)とオリーヴ色のジャケツとを、

「秋の日曜」
青い空は金色に澄み、

(汽笛が鳴ったので)
白とオレンジとに染分けていた。

空は青く、飴色(あめいろ)の牛がいないということは間違っている。

僕の眼も青く、大きく、哀れであった。

(南無 ダダ)
青い傘
  植木鉢も流れ、

◇

42篇にしては
「色」が現われる詩の数は少なく
その中でも目を引くのは

野兎色のランプの光
牛肉のような色
青い空は金色に澄み

――くらいでしょうか。

(つづく)

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