ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々4
「色」が言葉にされたとき
その詩の作り方によって
現実の色をそのまま叙述(写実)しようとしていたり
メタファーとして使ってみたり
象徴表現としたり
まさに色々です。
「色」は
詩から独立しているものでない以上
詩全体の中の「色」でしかないことは言うにおよびません。
◇
「みちこ」の「あおき浪」「磯白々と」は
詩全体が喩(メタファー)に仕立てられているなかで
叙述の色。
後半に出てくる「頸(うなじ)は虹」や「なみだぐましき金(きん)」は
叙述を一歩はみだしています。
「更くる夜」の「真っ黒い武蔵野の夜」は
字義通りの黒。
「秋」の「鈍い金色」も同じ。
「真鍮の光沢」は直喩。
「沼の水が澄んだ時かなんかのような色」も直喩の域内でしょう。
「修羅街輓歌」の「空は青く」も
まったくストレートな叙述です。
「雪の宵」の「赤い火の粉」も同じ。
「時こそ今は……」の「群青(ぐんじょう)」も同じ。
「羊の歌」の「密柑の色」もなんらのダブルミーニングを持ちません。
「憔悴」の「空は青いよ」もそのまんまの青です。
「虹」もそのまんまの虹。
◇
「山羊の歌」の「色」を見てきて
印象に残ったのは何ですか?
◇
茶色い戦争
はなだ色
花崗岩のかなたの目の色。
秋空は鈍色(にびいろ)
……
これくらいでしょうか。
「茶色い戦争」なんてのは
この1語で中原中也を思わせるほどの浸透力で
日本人の間に広がっています。
「サーカス」の中の1語であるにもかかわらず
サーカスよりも強いインパクトで
人々の頭の中に刻まれているといってよいほどに。
(つづく)
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