ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々9
(前回からつづく)
「ノート1924」は
中原中也が残した最も古いノート。
これを使用していた時期に
長谷川泰子と同棲し
京都を訪れた富永太郎と知り合っています。
使用されたのは京都時代ばかりではなく
上京して、幻となった第1詩集を編集した昭和2~3年にも使用されています。
ダダから脱け出そうとしていた過渡期の作品といえる時期に
「浮浪歌」以下7篇がこのノートに記されました。
そこに現われた「色」を拾います。
◇
「浮浪歌」
こんなに暖い土色の
代証人の背の色
「無題」
あなたより 白き虹より
(秋の日を歩み疲れて)
川果の 灰に光りて
「秋の日」
秋の日は 白き物音
黒き石 興をおさめて
「無題」
緋のいろに心はなごみ
金色の胸綬(コルセット)して
死の神の黒き涙腺
緋の色に心休まる
◇
この時期にはまた泰子との別離がありました。
泰子は小林秀雄のもとへと去りました。
その影響が「色」にあるかどうか。
とうていそんなことは突き止められませんが
詩に変化が見られることは確かです。
とはいえ「むなしさ」や「朝の歌」がすでに歌われていたにもかかわらず
ダダの匂いがぷんぷんしています。
「死の神の黒き涙腺」など
ダダそのものですが
詩の方向はダダならぬものにありました。
(つづく)
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