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2013年1月27日 (日)

ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13

(前回からつづく)

「早大ノート(1930年―1937年」の次には
「草稿詩篇(1931年―1932年)」が配置されていて
13篇の詩が収められています。
この中の詩に現われる「色」はどんな風でしょうか。

◇

「三毛猫の主の歌える」
むかし、おまえは黒猫だった。

「疲れやつれた美しい顔」
その花は、夜の部屋にみる、三色菫(さんしきすみれ)だ。

「Tableau Triste」
それは、野兎色のランプの光に仄照らされて、

「青木三造」
かすかに青き空慕い

あおにみどりに変化(へんげ)すは

飲んで泡吹きゃ夜空も白い
  白い夜空とは、またなんと愉快じゃないか

「脱毛の秋 Etudes」
それは、蒼白いものだった。

僕は一つの藍玉を、時には速く時には遅くと

僕は僕の無色の時間の中に投入される諸現象を、

無色の時間を彩るためには、

まず、褐色の老書記の元気のほか、

瀝青(チャン)色の空があった。

女等はみな、白馬になるとみえた。

僕は褐色の鹿皮の、蝦蟇口(がまぐち)を一つ欲した。

「幻 想」
手套はその時、どんなに蒼ざめているでしょう

「秋になる朝」
ほのしらむ、稲穂にとんぼとびかよい

「お会式の夜」
吐く息は、一年の、その夜頃から白くなる。

「修羅街挽歌 其の二」
暁は、紫の色、

金色の、虹の話や
蒼窮を、語る童児、

◇

「脱毛の秋 Etudes」「幻 想」「修羅街挽歌 其の二」に現われる「色」の一部を除いて
ほとんどは形容詞的な「色」といえるでしょうか。

「脱毛の秋 Etudes」に現われる
無色の時間、とか
褐色の鹿皮の、蝦蟇口(がまぐち)、とかは
単純な叙述の色のようですが、
叙述を超えるものが込められているのでしょうか?

女等はみな、白馬になるとみえた。(「脱毛の秋 Etudes」)や
手套はその時、どんなに蒼ざめているでしょう(「幻 想」
金色の、虹の話や 蒼窮を、語る童児、(「修羅街挽歌 其の二」)には
立ち止まって考えさせるものがあります。

(つづく)

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