ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13
(前回からつづく)
「早大ノート(1930年―1937年」の次には
「草稿詩篇(1931年―1932年)」が配置されていて
13篇の詩が収められています。
この中の詩に現われる「色」はどんな風でしょうか。
◇
「三毛猫の主の歌える」
むかし、おまえは黒猫だった。
「疲れやつれた美しい顔」
その花は、夜の部屋にみる、三色菫(さんしきすみれ)だ。
「Tableau Triste」
それは、野兎色のランプの光に仄照らされて、
「青木三造」
かすかに青き空慕い
あおにみどりに変化(へんげ)すは
飲んで泡吹きゃ夜空も白い
白い夜空とは、またなんと愉快じゃないか
「脱毛の秋 Etudes」
それは、蒼白いものだった。
僕は一つの藍玉を、時には速く時には遅くと
僕は僕の無色の時間の中に投入される諸現象を、
無色の時間を彩るためには、
まず、褐色の老書記の元気のほか、
瀝青(チャン)色の空があった。
女等はみな、白馬になるとみえた。
僕は褐色の鹿皮の、蝦蟇口(がまぐち)を一つ欲した。
「幻 想」
手套はその時、どんなに蒼ざめているでしょう
「秋になる朝」
ほのしらむ、稲穂にとんぼとびかよい
「お会式の夜」
吐く息は、一年の、その夜頃から白くなる。
「修羅街挽歌 其の二」
暁は、紫の色、
金色の、虹の話や
蒼窮を、語る童児、
◇
「脱毛の秋 Etudes」「幻 想」「修羅街挽歌 其の二」に現われる「色」の一部を除いて
ほとんどは形容詞的な「色」といえるでしょうか。
「脱毛の秋 Etudes」に現われる
無色の時間、とか
褐色の鹿皮の、蝦蟇口(がまぐち)、とかは
単純な叙述の色のようですが、
叙述を超えるものが込められているのでしょうか?
女等はみな、白馬になるとみえた。(「脱毛の秋 Etudes」)や
手套はその時、どんなに蒼ざめているでしょう(「幻 想」
金色の、虹の話や 蒼窮を、語る童児、(「修羅街挽歌 其の二」)には
立ち止まって考えさせるものがあります。
(つづく)
にほんブログ村:「詩集・句集」人気ランキングページへ
(↑ランキング参加中。記事がおもしろかったらポチっとお願いします。やる気がでます。)らポチっとお願いします。やる気がでます。)
« ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々12 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14 »
「072中原中也が使った色々な色」カテゴリの記事
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々・最終回(2013.01.31)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々16(2013.01.30)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々15(2013.01.29)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14(2013.01.28)
- ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々13(2013.01.27)
« ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々12 | トップページ | ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる色の色々14 »


コメント