ひとくちメモ/中原中也の詩に現われる 色の色々
中原中也は実に色々な色を
詩の中に登場させています。
「色」とか「いろ」と表記されていたり
「色の名前」だけがあるものだったりします。
◇
「山羊の歌」から拾ってみますと……
「春の日の夕暮」
アンダースローされた灰が蒼ざめて
「サーカス」
茶色い戦争ありました。
それの近くの白い灯が
「春の夜」
一枝の花、桃色の花。砂の色せる絹衣。
蕃紅色(サフランいろ)の湧きいずる
「朝の歌」
天井に朱(あか)きいろいで
空は今日 はなだ色らし
「臨終」
秋空は鈍色(にびいろ)にして
白き空盲(めし)いてありて
白き風冷たくありぬ
「秋の一日」
花崗岩のかなたの目の色。
「冬の雨の夜」
竟(つい)に密柑の色のみだった?……
「凄じき黄昏」
銀紙(ぎんがみ)色の竹槍の
「夕照」
落陽は、慈愛の色の
金のいろ。
「宿酔」
もう不用になったストーブが
白っぽく銹(さ)びている。
「少年時」
黝い石に夏の日が照りつけ、
庭の地面が、朱色に睡っていた。
麦田には風が低く打ち、
おぼろで、灰色だった。
「盲目の秋」
その間、小さな紅の花が見えはするが、
「わが喫煙」
おまえのその、白い二本の脛(あし)が、
「妹よ」
湿った野原の黒い土、短い草の上を
「木蔭」
夏の昼の青々した木蔭は
「心象」
白き天使のみえ来ずや
◇
まだまだありますが
今回はここまで。
(つづく)
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