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2014年2月10日 (月)

別世界の「恋人」/「わが喫煙」

(前回からつづく)

「盲目の秋」の暗黒から
「わが喫煙」の「どよもし(喧騒)」へ――。

「盲目の秋」で無限の前に腕を振っていた詩人は
今、都会の雑踏の中にあります。

「盲目の秋」で死の淵を覗いた詩人はついに生還し
「恋人」との日常時間の中にいます。

時計が逆に回ったのでしょうか?

わが喫煙
 
おまえのその、白い二本の脛(すね)が、
  夕暮(ゆうぐれ)、港の町の寒い夕暮、
にょきにょきと、ペエヴの上を歩むのだ。
  店々に灯(ひ)がついて、灯がついて、
私がそれをみながら歩いていると、
  おまえが声をかけるのだ、
どっかにはいって憩(やす)みましょうよと。

そこで私は、橋や荷足を見残しながら、
  レストオランに這入(はい)るのだ――
わんわんいう喧騒(どよもし)、むっとするスチーム、
  さても此処(ここ)は別世界。
そこで私は、時宜(じぎ)にも合わないおまえの陽気な顔を眺め、
  かなしく煙草(たばこ)を吹かすのだ、
一服(いっぷく)、一服、吹かすのだ……

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。「新かな」に変え、一部「ルビ」を加えました。編者。)

この詩は昔のある日の
単なる回想というものではないでしょう。

「無限」を前にして
「こちら側」に踏み止まって
そこで腕を振って
……

生還して
幾日かが経過して
――という経験の後の回想です。

回想といえば回想ですが
この経験の後の回想であるのと
この経験を通過しない回想とは
まったく異なる回想です。

詩集「山羊の歌」後半部には
「盲目の秋」以下に18篇が連続して
「白痴群」に発表された作品が並びます。

「少年時」9篇のうち8篇
「みちこ」5篇のすべて
「秋」5篇のすべて
合計18篇が配置されていますが
これらは昭和4年(1929年)からおよそ1年隔月発行され
中原中也が傾注した同人誌「白痴群」に発表されました。

「わが喫煙」は「盲目の秋」を含む「落穂集」全8篇として
昭和5年(1930年)4月発行の「白痴群」第6号に掲載されました。
第6号で「白痴群」は廃刊になりました。

今回はここまで。

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