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2014年7月31日 (木)

ボードレールの「月」/面白い!中也の日本語

(前回からつづく)

ボードレールの永井荷風訳「月の悲しみ」(Tristesse de la lune)の冒頭行
「月」今宵(こよひ)いよゝ懶(ものう)く夢みたり。
――が中也の記憶に残ったのかどうか。

月がもの憂い状態にあることを歌った詩が
そうざらに見つかることはないのでしょうが
ボードレールのほかの詩に「憑かれた人」があり
この詩にも「月の倦怠」というモチーフがあることを指摘するのは
「中原中也必携」(学燈社、吉田凞生・編)です。

「月」が制作された大正14年(と吉田は推定)は
中也が上京した年であり
8月頃には「大体詩を専心」しようと決めた年であり
前年に京都で富永太郎と親交を結び
この年4月には小林秀雄を知った中也が
ボードレールに強い影響を受けていた富永、小林との交友の中で
ボードレールに関心を抱いていたことに吉田は着眼しました。

そしてボードレールを渉猟(しょうりょう)したのか
偶然見つけたかしたのでしょう。

いま手元にある「悪の華」(集英社文庫、安藤元雄訳)の
「憑かれた人」に目を通しておきましょう。

37憑かれた人

太陽が喪のヴェールに顔をかくした。それと同じに、
おお わがいのちの月よ! すっぽりと闇に包まれなさい。
眠るもよし 煙草を喫むもよし。じっと黙って、暗い顔で、
『倦怠』の深淵にそっくり沈みこんでいきなさい。

私はそんなおまえが好きだ! けれども、もしもおまえが今日、
蝕みあった天体が薄闇からぬけ出すように、
『狂気』のあるれ返る場所に羽根をひろげてみたいなら、
それもよし! 魅惑にみちた短剣よ、鞘から走れ!

シャンデリアの焔でおまえの瞳に火をともせ!
無作法な男どもの目に欲望の火をともせ!
おまえのすべてが わが喜びだ、しなだれていても活発でも。

好きな姿でいればいいのさ、黒い夜、赤いあけぼの。
ふるえる私の全身の筋という筋が一つ残らず
叫んでやまない、『おお いとしの魔王よ、おまえを崇める!』と。

月が現われ
倦怠が歌われ
短剣が出てくるあたりに
中也の「月」への反映があるといえばありそうなかすかなものですね。

そのためか
「新編中原中也全集」はこの吉田説を案内していません。

新全集が新たに参考文献として紹介するのは
オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」です。

途中ですが今回はここまで。

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