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2015年5月20日 (水)

金子光晴「落下傘」の時代・「鷹」その2

(前回からつづく)

 

正覚坊(しょうがくぼう)はアオウミガメのことですが

大酒飲みの意味を持ちます。

 

 

大酒のみが

海の藻くずにからまれ浮いたり沈んだりしているように

わが地球よ!

頭から血のぼろを浴びて、何度流転しなければならないのだ。

 

空で繰り広げられる死の恐怖を見上げて暮らす人々に

安堵はなく、まるでツンドラにでも起き伏しするようだ。

 

なぜ人は鷹を放したのだ。

その日から、人は天の高さを失った。

自分の放した猛鳥の影に脅えて、さすらうのだ。。

 

 

分別というものを誰も持たない。

泥まみれの奴らが、爆弾で開けられた大穴の周りに集まり

殺人(むごたらしさ)の新兵器とばかりに楽しんでいる(図)。

 

血の滲んだ剥がれ雲よ。

 

剥がれ雲は、はぐれ雲にかなり近い雲でしょうか。

大きな雲から剥がれて、孤立した状態の雲か。

 

鷹の比喩ではなく

人間の比喩でしょうか。

 

 

胃袋までもとりあげられて

呆然と

なすところをしらない人間よ。

 

(食べる元気も奪われて

自分を見失い

何をしてよいかわからないでいる人間よ)

 

 

 

怖れる馬鹿があるか!

もともと、おまえたちがはじめたことじゃないか!

 

ふるえるな。

みっともない。

 

おまえたちが加担して、

人の夫や人の子を戦争に追いやったんじゃないか!

 

 

おまえたちの手で空へ放たれて

すでに戻ることのできないのを

気づかないもの。

いたいけなもの。

 

鷹――。

 

 

ヨーグルトかなにか乳酸のように

空を濁(にご)す。

 

(のすり)だ!

隼(はやぶさ)だ!

 

 

天翔(あまがけ)る鷹が

青空を汚していく。

 

空から

美しいものが消え失せ

鷹が飛ぶたびに

死が飛翔するように

詩人の眼には見えたのでしょう。

 

憤懣の詩です。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

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