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2015年8月23日 (日)

茨木のり子の「詩のこころを読む」を読む/岸田衿子・結婚式に遅刻する

(前回からつづく)

 

「詩のこころを読む」を離れて

岸田衿子のプロフィールを見ておきましょう。

 

 

昭和4年(1929年)東京に生まれる。東京芸術大学美術部油絵科卒。デッサンを硲伊之助(はざま・いのすけ)、油絵を伊藤廉(れん)に師事。岡鹿之助にも個人的に画をみてもらっていた。ピエロ・デルラ・フランチェスカ、アンリ・ルソー等の絵に親しんだ。

 

在学中に呼吸器を患い、山小屋暮しをしながら詩作をはじめる。同人雑誌「櫂」に参加。幼友達の谷川俊太郎と書肆ユリイカの伊藤得夫にすすめられて、最初の詩集「忘れた秋」(昭和30年、書肆ユリイカ)を出した。

 

その後の詩集は「ライオン物語」(昭和32年/書肆ユリイカ)、「くれよんの歌」(昭和49年/サンリオ出版)、「あかるい日の歌」(昭和54年/青土社)がある。

 

童謡・絵本の作品も多く、「ジオジオのかんむり」「ジオジオのパンやさん」「ジオジオのたんじょうび」などジオジオシリーズをはじめ、「ひとこぶらくだがまっていた」、昭和37年と49年にそれぞれサンケイ児童出版文化賞を受賞した「かばくん」「かえってきたきつね」などがある。

 

ほかに童謡のレコードとして「動物の十二ヶ月の歌」「生まれたままのひとみで」、エッセイ集「風にいろをつけたひとだれ」がある。

 

 

このプロフィールは、

昭和54年(1979年)発行の

「日本の詩26 現代詩集(二)」(集英社)のものですから

平成23年(2011年)に亡くなった岸田衿子の前半期の創作活動になります。

 

編集責任者は「櫂」同人である大岡信でしたから

出発時のレア情報が記録されています。

 

 

テレビアニメ「世界名作劇場」が広い支持を得るのは

1970年代中ごろに放映された「ムーミン」あたりからですから

「現代詩集」の刊行と交差する時期でした。

 

「アルプスの少女ハイジ」

「フランダースの犬」

「あらいぐまラスカル」

「赤毛のアン」

……などと

岸田衿子の作った歌詞は世間に広く知られることになります。

 

「あー!この歌、岸田衿子という人が作詞したんだ。」と

名前は多くの視聴者に伝わっていきましたが

詩人(現代詩の作家)であることまでは十分には伝わっていません。

 

翻訳の仕事も絶え間なく続けていますが

これも絵本・童話の翻訳に集中しています。

 

妹の女優・今日子とのコラボで

中央のメディアにも登場することが何度かありましたが

ほとんどの時間を北軽井沢の山小屋で費やしました。

 

山小屋は

岸田衿子の暮しの場であり

仕事場であり

遊び場でした。

 

 

ここで

岸田今日子と衿子と谷川俊太郎の3人が

「山小屋の暮らし」を回想したおしゃべりから

ひろっておくことにしましょう。

 

そのおしゃべりは、

「ふたりの山小屋だより」(文春文庫)で読むことができます。

 

中に

岸田衿子が谷川俊太郎との結婚式の日に

遅刻したことが話題になっていて

茨木のり子が「詩のこころを読む」で案内したところとクロスオーバーしていて

思わずにんまりしてしまうところです。

 

 

 

(略)

今日子 結婚式のとき、三好達治さんがすごい酔っ払っちゃったの。なぜだか知ってる?

衿子  私が遅れたからでしょう。

谷川  三好さん、お仲人役してくれたんだよね。それで祝辞も読んでくださった。そこへ花嫁が大いに遅刻して現れた。

今日子 それまでに三好さんがグデングデンに酔っ払っちゃったていう(笑)、そういう話。

衿子  珍しく着物だったんでね。髪に巻く花を買ったり。

谷川  でも、普段でもだいたい遅れる人なんですよ(笑)。

(略)

 

 

衿子の言い訳が聞き入れられず

衿子本人も強弁していないところがほほえましい、というか――。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

 

 

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