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2015年10月28日 (水)

折りにふれて読む名作・選/夏の夜に覚めてみた夢

今日は気温も上昇し

朝からほかほか。

9時過ぎには日向ぼっこが心地よい日和(ひより)とはなりました。

 

昨夜は

山田哲人が3本目を打ったところで観戦を中止し寝たのでした。

 

首を2回振って投げたのが直球でしたから

だいぶ自信があるんでしょう

――と解説の江本が言った直後でした、確か。

 

その鼻っ柱をコーンと

無理な力を込めない感じで山田はセンター左席へと運んだのでした。

 

 

夏の夜に覚めてみた夢

 

眠ろうとして目をば閉じると

真ッ暗なグランドの上に

その日昼みた野球のナインの

ユニホームばかりほのかに白く――

 

ナインは各々(おのおの)守備位置にあり

狡(ずる)そうなピッチャは相も変らず

お調子者のセカンドは

相も変らぬお調子ぶりの

 

扨(さて)、待っているヒットは出なく

やれやれと思っていると

ナインも打者も悉(ことごと)く消え

人ッ子一人いはしないグランドは

 

忽(たちま)ち暑い真昼(ひる)のグランド

グランド繞(めぐ)るポプラ竝木(なみき)は

蒼々(あおあお)として葉をひるがえし

ひときわつづく蝉しぐれ

やれやれと思っているうち……眠(ね)た

 

(「新編中原中也全集 第1巻 詩Ⅰ」より。現代かなに変えました。編者。)

 

 

なんというタイミング!

 

「在りし日の歌」は

「秋の消息」

「骨」

「秋日狂乱」

「朝鮮女」

――という名作の並びに

この詩を配置していました。

 

 

狡(ずる)そうなピッチャは相も変らず

お調子者のセカンドは

相も変らぬお調子ぶりの

――という詩行は

そのまま昨夜の日本シリーズ第3戦のシーンと同列のものではありません。

 

まったく関係ありませんが

試合の流れの中で生じる瞬間の攻防は

ナインは各々(おのおの)守備位置にあり

そのナイン同士の駆け引きに左右されるところは同じでしょう。

 

 

中也の目には、

ずるそうなピッチャー

お調子者のセカンド

――と映ったのでしょうが

そう見えたのには理由があったのですし

そう見えたのをメタファーとして歌った(詩語にした)のは

日々の鋭い観察があればこそのことなのでしょう。

 

 

それにしてもソフトバンクの

セカンドゴロをさばいた選手の見事なフットワークなど

見応えのあるプレーが随所に見られたゲームでした。


中也の見た試合は

ヒットが出なくてやれやれ、だったのに。

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