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2015年10月27日 (火)

折りにふれて読む名作・選/秋の消息

木枯らし1号がすでに吹いて

まもなく冬将軍だの

西高東低だの

雪下ろしだの雪掻きだの

……

テレビは冬モードに切り替わろうとしています。

 

このところ

靴下を履かないでいて足、冷たい!と思っていたら

昨日など、手袋がほしいと感じる早朝の寒さでした。

 

 

つるべ落としの暮方(くれがた)には

ああ、冬が来てしまう

 

落ち葉掃きのおじさんからは

「45リットルが5袋もあっという間さ」などとの声が漏れてきますし。

 

 

秋の消息

 

麻(あさ)は朝、人の肌(はだえ)に追い縋(すが)り

雀(すずめ)らの、声も硬(かと)うはなりました

煙突の、煙は風に乱れ散り

火山灰(かざんばい)掘れば氷のある如(ごと)く

けざやけき顥気(こうき)の底に青空は

冷たく沈み、しみじみと

 

教会堂の石段に

日向(ひなた)ぼっこをしてあれば

陽光(ひかり)に廻(めぐ)る花々や

物蔭(ものかげ)に、すずろすだける虫の音(ね)や

 

秋の日は、からだに暖(あたた)か

手や足に、ひえびえとして

此(こ)の日頃(ひごろ)、広告気球は新宿の

空に揚(あが)りて漂(ただよ)えり

 

(「新編中原中也全集 第1巻 詩Ⅰ」より。現代かなに変えました。編者。)

 

 

この詩は

新宿の広告気球の印象が強くて

ビルの谷間の青空に浮かんだアドバルーンのイメージが先立ちますが

よく読めば

 

手や足に、ひえびえとして

――とあるのに気づいて

素足じゃ冷たい、靴下履こう

手が寒い、手袋が要るなと感じるのと同じじゃんと

違う方向からアプローチが可能になりました。

 

朝晩は冷え込みますが

昼日中の日向はポカポカポカポカと

何事も忘れる天国の日々ですね。

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