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2015年11月21日 (土)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/「海鳴り」5

(前回からつづく)

 

女性の生理現象と

月の満ち欠けと

(地球の海の)潮の干満とが

シンクロナイズする壮大なスケール感は

壮大であっても凸凹(でこぼこ)を感じさせない自然な感じで繋がっています。

 

 

この繋がりの根源には

言葉(メタファー)の力がからまっていて

純粋に自然現象の解説でないことは

この詩が詩であることの理由でもあります。

 

詩が歌っているのは

宇宙の構造とか

地球の海の潮とかではありませんし 

天文学でも

宇宙物理学でも

4次元の世界でもありません。

 

にもかかわらず

それらをモチーフにした意図が

存在すると言わねばならないでしょう。

 

メタファーとか想像力とか……は

その存在理由の一つなのでしょう。

 

 

そのように受け取れるのは

魔術のようなものではなく

かといって科学というものでもなく

思い付きでもひらめきでもなく

この詩がもっている言葉の質によるものでありそうですが

その理由をここでこれ以上分析することは差し控えておきましょう。

 

 

ここでは

あっと驚くような茨木のり子の読みに触れて

ふたたび「口直し」としましょう。

 

茨木のり子は

この詩「海鳴り」のスケールに突き動かされたかのように

大らかな読みを施(ほどこ)します。

 

 

第3連では、

まるで古代の母系制社会のように、

主体性は女の側にあり、

堂々と健やかで、

「遊ぶ」という言葉が、

まるで新品のように洗い出され、輝いています。

 

(「詩のこころを読む」より。改行を加えました。編者。)

 

 

そういえば

わたしは待つ 

――の「わたし」の眼差しには

古代・邪馬台国(ヤマタイコク)の女王・卑弥呼(ヒミコ)の

アルカイック・スマイルのような面影が漂うのを

感じ取ることができます。

 

そして

「わたし」の眼差しの先にいる「夫や子どもたち」には

友達同士のような

物腰のやさしい夫と立派な子どものイメージが漂うのを感じます。

 

 

 

途中ですが

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

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