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2016年2月17日 (水)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/「生徒と鳥(2)」

(前回からつづく)

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

 

 

 

 

 

「生徒と鳥(1)」は

詩集の配置では

「塔」

「風」

「生徒と鳥(2)」

――と続きますが

ここで「生徒と鳥(2)」を読みましょう。

 

同名の詩なので

お互いに連絡しているはずですから。

 

 

生徒と鳥(2)

 

土ぼこりをたてて生徒の列が行く

(空にはつめたい光があった)

 

列のうしろにいた少年は

行手の石段にむかってかけよった

拳銃にうたれた一羽の鳥が

石段の途中に死んでいた。

 

教師の視線を感じながら

少年は鳥を手にとった

そのやわらかな胸毛をとおして

ひえていく鳥のからだにかれは触れた。

 

土ぼこりをたてて生徒の列が行く

(空にはつめたい光があった)

 

生徒の制服の胸のおくにも

ひえきった小鳥の死があった

熱風にまかれて夜明けの空を

もえる街に落ちた鳥の死が。

 

そのからだをかれは幼い日

やけ落ちたお宮の石段の上で見た

くろこげの木がかれの町の空をつきさし

かれの心をつきさしていた

 

土ぼこりをたてて生徒の列が行く

(空にはつめたい光があった)

 

(思潮社「高良留美子詩集」所収「生徒と鳥」より)

 

 

行分けが小刻(こきざ)みになり

ルフラン(繰り返し)もあり

いっそう形への意図が明確になりました。

 

全部で7連の詩ということになりますが

うち3連が2行のルフラン

ほかの4連は4行でできています。

 

ルフランは

それだけでリズムを生み

ほかの連の行数(4行)を規制し

音数律までをも誘発して

朗読の道を開くかのようです。

 

少なくとも

物語の枠組みを告げる語りの役を果たしています。

 

 

形(定型)への志向が明らかになった一方

意味内容もくっきりし

漢字熟語を制限する表記が意識され(ひらがなの使用)

難解なメタファーも消えました。

 

このようにして詩が分かりやすくなり

伝達に重心が移ったように感じるのも道理といえましょう。

 

 

いま、生徒の行列は

砂ぼこりをあげて行進しています。

 

「生徒と鳥(1)」の砂漠に

接続する時間と空間が示されているのでしょう。

 

こちらは夢の中のようではなく

リアルな時間が流れている様子です。

 

主格は

行列の中から飛び出した少年です。

 

少年は

石段に死んでいる鳥に駆け寄り

今まさに死んでゆく鳥を手に取ります。

 

ここまでで

詩の半分です。

 

 

少年の胸には

今手にしている鳥の死ではない

もう一つの小鳥の死が存在しています。

 

熱風に巻かれて

夜明けの空に焼け落ちた鳥――。

 

戦争の焼け跡で見た

小鳥の死が突如、よみがえるのです。

 

少年は幼い日に

焼け落ちた石段の上に死んでいる鳥を見ました。

 

 

さて……。

 

詩に現れる少年が

詩人である必要はありませんが

詩人でない必要はいっそうありません。

 

少年は少女であっても

いいでしょう。

 

 

「公園で」

「生徒と鳥(1)」

「塔」

「風」

「生徒と鳥(2)」

――という配列は

詩集「生徒と鳥」のほぼ中心部にあります。

 


中心部の中心には

「塔」があります。

 

 

途中ですが 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

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