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2016年2月10日 (水)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/「塔」へ9

(前回からつづく)



 

 

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

 

 

 

 

 

 

 

1953年の高良留美子の認識では

 

ランボーの挫折の必然を読み取っていたのですが

 

後にその認識が修正されたのか、されなかったのか

 

その認識を支えるのはマルクスの「ドイツ・イデオロギー」でした。

 

 

 

 

 

 

その認識へ至るのに

 

ランボーが媒介となったことは

 

ここで銘記しておかなければならない

 

重大なポイントです。

 

 

 

「わが二十歳のエチュード」というネーミングがそれを十分に物語っていますが

 

小林秀雄にはじまる「ランボーという事件」が

 

戦後10年になって

 

女性の詩人にも波及していたことを知るだけでも

 

現在では当たり前のことのようですが

 

ランボーの栄光と言わねばなりません。

 

 

 

「塔」に

 

ランボーの影があるとすれば

 

なおさらのことになります。

 

 

 

 

 

 

詩の「外」から

 

「塔」の中へ――。

 

 

 

第1詩集「生徒と鳥」の中で

 

最も早い時期に作られた「塔」が

 

発表した作品の第1番ということではないにせよ

 

デビュー作と言って過言ではないでしょう。

 

 

 

詩人の出発時に

 

「少女たちよ」と呼びかけられた

 

その少女たちの女性性こそに

 

詩人のあらゆるものが詰まっているとも言うことができるでしょう。

 

 

 

 

 

 

「塔」の呼びかけは

 

詩人自身へのエールであることは間違いありません。

 

 

 

「わが二十歳のエチュード」の「10月24日 スケッチ帳2に」に現れた「作品」は

 

散文詩「塔」に続いて

 

次の行分け詩を置いて

 

あたかもそのエールにエールを送っているかのような詩です。

 

 

 

 

 

 

雲と銀杏(いちょう)

 

 

 

ぐんぐん体を伸ばした白雲は

 

ついに太陽に足をかけた

 

銀杏の樹は真っ裸で

 

髪を逆立てて立ちはだかった

 

天に突き出したその幾百の腕は

 

荒れ狂う風に

 

雲をむち打ってばりばり鳴った

 

 

 

 

 

 

バリバリ

 

――になんとも強い響きがあります。

 

 

 

幾百の腕は

 

もちろん銀杏です。

 

 

 

銀杏は

 

後に

 

銀杏並木のイメージになって

 

高良留美子の詩に度々出現します。

 

 

 

 

 

 

途中ですが 

 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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