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2016年2月13日 (土)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/「生徒と鳥(1)」

(前回からつづく)



 

 

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「塔」は

 

1953年に「作品」の一部として書かれ

 

1958年発行の第1詩集「生徒と鳥」に収録されました。

 

 

 

行分け詩――散文詩――行分け詩で構成されていた「作品」が

 

散文詩の部分を独立して「塔」と題され

 

発表されたということになります。

 

 

 

この時、改行が加えられ

 

散文詩でありながら

 

4連の形になり

 

現在の「塔」となりました。

 

 

 

はじめ自動速記で書かれた散文詩に

 

わずかですが「形」が整えられたのです。

 

 

 

 

 

 

「わが二十歳のエチュード」中の「作品」にも

 

それが作品であるための「形」への意志を読むことができます。

 

 

 

行分け詩・散文詩・行分け詩

 

――という配列そのものに

 

その意志の一つはあります。

 

 

 

このように配列された詩の

 

一つ一つの詩の内容(モチーフ)が

 

連続していようといまいと

 

全体で「作品」となったのには

 

理由があったに違いありませんから。

 

 

 

 

 

 

「塔」はところが

 

「生徒と鳥」に発表されたときには

 

「作品」中の散文詩だけが選択されました。

 

 

 

そして

 

公園で

 

生徒と鳥(1)

 

 

 

生徒と鳥(2)

 

――と並ぶ配列で新たに登場します。

 

 

 

詩集のタイトル詩である「生徒と鳥(1)」へ

 

こうしてたどり着きます。

 

 

 

 

 

 

「生徒と鳥(1)」

 

 

 

 かれは生徒だ。で教師がかれをつれて行く。どこへ行くかわからない。教師にもよくわか

らない。二人は途中で鳥にあった。眼の大きい、脚の太い古代の鳥だ。生徒は鳥にあいさ

つする、それから鳥と一緒に歩き出した。

 

 

 

 鳥と生徒はある砂漠の中の国へ行った。はだしの黒い男たちが荷を運んでいた。広場の

立派な建物には誰も住まず、扇風機がひとりで廻って、骸骨の形した男たちはくさいところ

ではだかで眠る。

 

 重い荷物が砂漠の中を遠い国から運ばれてきて、海を越えて遠くの国へ運ばれた。すべ

ては黒い男たちのまったく知らないことだった。

 

 

 

 生徒は物乞いする足なえの少年の眼の中に、かれらの黒い大洋をみとめた。

 

 

 

(思潮社「高良留美子詩集」所収「生徒と鳥」より。)

 

 

 

 

 

 

 

 

途中ですが 

 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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