カテゴリー

2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 折に触れて読む名作・選/茨木のり子「最上川岸」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 »

2016年2月28日 (日)

折に触れて読む名作・選/茨木のり子「六月」

 

 

 

きっぱりと

竹を割ったような物言いを身上とする詩人は

それでも

押さえに押さえて

ようやく吐き出す「感情」があるようです。

 

 

六月    

                

どこかに美しい村はないか

一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒(ビール)

鍬(くわ)を立てかけ 籠を置き

男も女も大きなジョッキをかたむける

 

どこかに美しい街はないか

食べられる実をつけた街路樹が

どこまでも続き すみれいろした夕暮は

若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

 

どこかに美しい人と人の力はないか

同じ時代をともに生きる

したしさとおかしさとそうして怒りが

鋭い力となって たちあらわれる

 

(ちくま文庫「茨木のり子集 言の葉1」所収 詩集「見えない配達夫」より。)

 

 

ようやく。

 

最後まで言わず、

最後になって吐き出す。

 

その「感情」の名は怒りです。

« 折に触れて読む名作・選/茨木のり子「最上川岸」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 »

110現代詩の長女/茨木のり子の世界」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 折に触れて読む名作・選/茨木のり子「最上川岸」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 »