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2016年2月24日 (水)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/「月」から「塔」へ

(前回からつづく)



 

 

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月は「生活」のなかで

 

別の顔を見せます。

 

 

 

 

 

 

街路樹の月

 

 

 

街路樹は各々その茂みのなかに

 

一つのガラスの月を持っている。

 

 

 

 

 

 

柳の月、アカシアの月。

 

(宇宙をはしる月!)

 

 

 

 

 

 

とらわれた月はうなだれて

 

舗道を照らしている

 

舗道に埋もれた

 

ひとの心を照らしている。

 

 

 

(思潮社「高良留美子詩集」所収「生徒と鳥」より。)

 

 

 

 

 

 

これらの月は

 

「塔」最終連に現れる月に接読するでしょうか?

 

 

 

忍耐がかんじんだ。

 

リラの花が海辺をかざるのは夜だけではない。

 

月は虹のあいだに逸楽の砂地を見たのだ。

 

 

 

――と書かれた月に。

 

 

 

 

 

 

断定はできません。

 

 

 

「塔」はさらに

 

暗喩の強度を上げます、次のように。

 

 

 

はなやかな仮装が地獄の道を通って行った。

 

何時かえってくるか知れぬ、

 

だが祭りはたしかに酔いしれた鉄骨に不思議な作用を及ぼしたのだ。

 

 

 

(改行を入れました。編者)

 

 

 

 

 

 

とりわけて謎めいているのが

 

「酔いしれた鉄骨」――。

 

 

 

酔いつぶれベロベロになった

 

鉄骨→ビルディング→建築物→屋台骨→家……か。

 

 

 

祭りが

 

前後不覚の頑固で頑丈な構造へ

 

思いもよらない効果を生んだ、か。

 

 

 

 

 

 

ふたたび「作品」が思い出されます。

 

 

 

「塔」のプロローグのように置かれたあの短詩です。

 

 

 

 

 

 

一つの堕落

 

その上につみあげられ、鉄骨の下まで染み通っていった

 

もう一つの堕落

 

君は珈琲店で淡々として母の<淫蕩>を語る。

 

 

 

(「わが二十歳のエチュード」より。)

 

 

 

 

 

 

鉄骨は塔とどのような関係にあるでしょうか?

 

 

 

謎がまた立ち上がります。

 

 

 

 

 

 

途中ですが 

 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

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