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2016年2月21日 (日)

茨木のり子厳選の恋愛詩・初めての高良留美子/詩集「生徒と鳥」の「風」その3

(前回からつづく)



 

 

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女が「風」のなかで

 

石壁のなかに消えたのはなぜなのか。

 

――と問うと

 

答えは見つからないかもしれません。

 

 

 

その問いは

 

自然ですが

 

「風」は自然を描写しているものではありませんから。

 

 

 

そのように問うのは勝手ですが

 

そう問うと詩のなかに入っていけません。

 

 

 

 

 

 

「風」は

 

第1連、第2連、第4連(終連)を

 

自然に読むことはできても

 

第3連を読むには努力が要ります。

 

 

 

どのように書かれているか

 

もう一度読んでみると――

 

 

 

石壁のなかに消えた少女、

 

その油気のない髪の毛のなかを吹きぬけながら

 

その背の高さで、風もまた少しずつ死んでいく。

 

 

 

――となっています。

 

 

 

この連の主格もまた風です。

 

 

 

少女は

 

風が死んでいくという主述関係の副詞句に過ぎません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、という強い理由があるわけではないのですが

 

少女はここで死んでいません。

 

 

 

少女(詩人)は

 

第4連で「ものがたり」の発端にいるのです。

 

 

 

 

 

 

ここに来て

 

いったい「風」という詩は

 

何を歌っているのでしょうか

 

――という問いが有効です。
 

 

 

 

この問いは

 

いったい風という自然現象は

 

なんなのでしょう。

 

――という問いを問うのと似ています。

 

 

 

風は、

 

自然の風は、

 

ようやく意味を持ちはじめたようです。

 

 

 

 

 

 

ここで単なる自然の風は

 

象徴の風に変成しています。

 

 

そのことを

 

ふたたび「作品」を構成していた詩を読んで

 

確認することができるでしょう。

 

 

 

 

 

 

雲と銀杏(いちょう)

 

 

 

ぐんぐん体を伸ばした白雲は

 

ついに太陽に足をかけた

 

銀杏の樹は真っ裸で

 

髪を逆立てて立ちはだかった

 

天に突き出したその幾百の腕は

 

荒れ狂う風に

 

雲をむち打ってばりばり鳴った

 

 

 

 

(学芸書林「わが二十歳のエチュード」より。)

 

 

 

 

 

 

 

 

この詩の「荒れ狂う風」は

 

いまだ自然の風でした。

 

 

 

 

 

 

途中ですが 

 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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