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2016年3月14日 (月)

茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「男について」

(前回からつづく)

 

詩人、滝口雅子のアウトラインを見る途中ですが

やはり詩を読みましょう。

 

「男について」は

第2詩集「鋼鉄の足」に収められています。

 

茨木のり子は「詩のこころを読む」で

「男について」と「秋の接吻」の2作を

「恋唄」の章で取りあげたのでした。

 

 

男について 

 

男は知っている

しゃっきりのびた女の

二本の脚の間で

一つの花が

はる

なつ

あき

ふゆ

それぞれの咲きようをするのを

男は透視者のように

それをズバリと云う

女の脳天まで赤らむような

つよい声で

 

男はねがっている

好きな女が早く死んでくれろ と

女が自分のものだと

なっとくしたいために

空の美しい冬の日に

うしろからやってきて

こう云う

早く死ねよ

棺(かん)をかついでやるからな

 

男は急いでいる

青い“あんず”は赤くしよう

バラの蕾(つぼみ)はおしひらこう

自分の掌がふれると

女が熟しておちてくる と

神エホバのように信じて

男の掌は

いつも脂でしめっている

           ――詩集「鋼鉄の足」

 

(「詩のこころを読む」より。傍点は“ ”で示し、促音「つ」は現代表記「っ」に直しました。編者。)

 

 

思わず釘づけになります。

 

しゃっきりのびた女の2本の脚、

その間で春夏秋冬咲く一つの花。

 

男はそれを知っているつもりなのを

女がそれを実は見ている、ということらしい。

 

どうしようもなく男と女はからまりあったようで

実は女の冷めた目は

神エホバをも単なる男として眺めやっています。

 

 

茨木のり子は、

「最初よんだとき、外国のいい詩を、名訳で読んだような感銘」とコメントし

そう読んだ理由について

次のように記しました。

 

 

ここに描かれた男たちの特徴が、

世界に共通の雄(おす)の性(さが)であるためでしょう。

うぬぼれ心、横溢(おういつ)で、手が神エホバのようにしめっているせいで、

人類はここまで存続してきたわけなのですが、

それにしても、あまりにも、はびこりすぎたのでは……。

 

(「詩のこころを読む」より。改行を加えました。編者。)

 

 

滝口雅子の第2詩集「鋼鉄の足」は

Ⅰが14篇、Ⅱが15篇、合計29篇で構成されていて

「男について」はⅡの第3番に置かれています。

 

Ⅱを通して読むと、

1番詩「少女の死」にも

2番詩「かなしみよ こんにちわ」にも

4番詩「男S」にも

5番詩「革命とは」にも

6番詩「すこやかな現実」にも

7番詩「水平線」にも

8番詩「若もの」にも

9番詩「港の対話――逃亡者」にも

……

 

男(の影)が現れるのに気づきます。

 

 

途中ですが

今回はここまで。 

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