2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

ブログランキング参加中です

中原中也を歌う(曲と歌:桜木うさこさん)

電子書籍

無料ブログはココログ

« 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? アウトライン・7つの詩集 »

2016年3月 7日 (月)

茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」続

(前回からつづく)

 

 

「秋の接吻」の中に

実際に、女性は存在したのでしょうか?

 

そう尋ねるのは野暮というものでしょうか?

 

 

本当は、人などいない風景だったのではないでしょうか。

 

白萩の花を

ただ風が吹きつけているばかりの……。

 

 

秋の接吻

 

ひとを愛して

愛したことは忘れてしまった

そんな瞳(め)が咲いていた

萩の花の白くこぼれる道

火山灰の白く降る山の道

すすきを分けてきた風が

頬をさし出して

接吻(せっぷん)した

ひとを愛して

愛したことは忘れてしまった

            ――詩集「窓ひらく」

 

(岩波ジュニア新書「詩のこころを読む」より。)

 

 

では、どこに

女性は存在するのでしょうか。

 

というと

やはり詩の中に存在するとしか言えないのです。

 

人を愛し

愛したことは忘れてしまった人が存在する、としか。

 

 

すべては

詩の中にあります。

 

詩のなかにしか

詩はありません。

 

茨木のり子は

逐条解釈をしているわけではありませんが

第3行にある「そんな瞳(め)」を捉(とら)えて

詩の中にたちまち入り込んでいます。

 

「そんな」はさりげない形容動詞(連体詞とも)ですが

受けた内容はこの詩では格別に重大です。

 

そうして次のように述べます。

 

 

その女のひとをいたわるように、

そっと接吻してゆくのは秋風ばかり

 

ずいぶんさびしいけれど、典雅な風景です。

 

(「詩のこころを読む」より。改行を加えました。編者。)

 

 

すでに

「その女のひと」です。

 

えっ? どの女のひと?

みたいな感じですが

愛し愛したことを忘れたひとであることを

飲みこむことは容易でしょう。

 

このように

詩の背景(の事実)に

気を奪われる必要はありません。

 

詩に入り込むのが先決です。

 

 

「秋の接吻」は滝口雅子の第3詩集「窓ひらく」に

収められています。

 

1963年の発行ですが

第2詩集「鋼鉄の足」で第1回室生犀星詩人賞を得たのは

1960年のことでした。

 

 

途中ですが

今回はここまで。 

« 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? アウトライン・7つの詩集 »

戦後詩の海へ/茨木のり子の案内で/滝口雅子」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? 「秋の接吻」 | トップページ | 茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? アウトライン・7つの詩集 »