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2016年3月26日 (土)

茨木のり子厳選の恋愛詩/滝口雅子を知っていますか? アウトライン「青春の詩集」

(前回からつづく)

 

 

 

(茨木のり子の読みを離れています。編者。)

 

滝口雅子が男についての考えを明らかにするのは

「男について」などの自作詩を通じてばかりではありません。

 

 

滝口雅子の編著「青春の詩集」(1967年、二見書房)は

滝口雅子がまもなく50歳を迎えるころのエッセイ集ですが

内外の名作詩を次々に読み解いていく手さばきは

息苦しくなるほど濃密な時間が継続します。

 

たとえばゲーテは

「野薔薇」とともに現れます。

 

 

野薔薇

(手塚富雄訳)

 

野にひともと薔薇が咲いていました

そのみずみずしさ 美しさ

少年はそれを見るより走りより

心はずませ眺めました

あかい薔薇 野薔薇よ

 

「おまえを折るよ、あかい野薔薇」

「折るなら刺します

いついつまでもお忘れにないように

けれどわたし折られたりするものですか」

あかい薔薇 野薔薇よ

 

少年はかまわず花に手をかけました

野薔薇はふせいで刺しました

けれど歎きやためいきもむだでした

薔薇は折られてしまったのです

あかい薔薇 野薔薇よ

 

 

折られたバラは不幸だろうか。

バラを折った少年は、残酷な少年だろうか。

あなたは少年を憎く思うだろうか。

あなたは、バラがいつまでも折られなければいいと思うだろうか。

 

――と滝口雅子はこの詩を読みはじめます。

 

 

「青春の詩集」を

少しひもといてみましょう。

 

まず目次を見ますと

 

1 青春をさすらうあなたに

2 恋にめざめるあなたに

3 恋のよろこび

4 恋のかなしみ

5 恋のおわり

6 孤独なあなたに

 

――という6章で構成されています。

 

 

ああ、そうだったか!

 

青春はさすらいであり

そのうち自然に恋にめざめ

時には喜びにあふれた恋の時間にひたり

時にはそれが悲しみに変わり

終わりを告げる

ふたたび孤独の境涯をかみしめる……。

 

この構成!

この内容!

 

絵に描いたような

まだ読んでいないうちから

人生の道のりを振り返らせられて

ハッとさせられるような。

 

青春を人生の花だとは決して言わせまい(ポール・ニザン)

――という激しい生(ロマン)に共鳴して生きてきた世代にも

このような青春が隣り合わせていたことを

ためいきとともに思い出す人があるに違いありません。

 

 

ようやく今、心の異変に気づきはじめた

すっぱい林檎の恋人たちも

自分の心のなかに目を向け

その原因がどうやらあの人にあることを知ったばかりです。

 

世界がようやく目の前に現われ

恋人たちは

恋のはじまりを知らず

恋に果てのあることを知りません。

 

 

途中ですが

今回はここまで。 

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