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2016年9月14日 (水)

滝口雅子を知っていますか?/詩集「蒼い馬」/「死と愛」の流れ・追補

(前回からつづく)

 

 


 

 

娘は

青くやせて

すこやかに<死>をみごもった

 

――という「死と愛」の最終行は

滝口雅子という詩人の考え方の根っこが埋まっていて

これを放置したままでは前に進めない

心臓部のような詩行です。

 

ここには

感覚だけではとらえられないものがあって

それは思想とか哲学と呼んでよいものでしょう。

 

というわけですから

「死と愛」にもう少しこだわり

突っ込んだ解釈にトライしてみます。

 

 

といっても

詩をわざわざ散文に言い換える無理に

挑戦するものではありません。

 

ここでできるのは

ほかの詩(行)からヒントを見つけ出すほどのことです。

 

詩は詩の中にしかありません。

 

 

「死と愛」の次の次に置かれた「扉」は

死と愛とほぼ同じ意味で「生と死」を真正面で歌っています。

 

やや観念的な詩ですが

「死と愛」を読む強力なヒントになりそうです。

 

 

たとえば中に、

 

生は死の持っていない匂いのために

死は生の知らない匂いのために

お互いをひきつける

 

生は死を美しいと思い

死は生を美しいと思う

その二つは必ず誰にもあるもの

 

生きることがどういうことか

生は本当にはまだ知らない けれど

死にはわかっている

生きることも死ぬこともそれらが

どういうものだかを

 

――という詩行があります。

 

(「新編滝口雅子詩集」より。原詩に改行を加えました。編者。)

 

生は愛と同じもののはずですから

死と愛の関係を理解するヒントになる詩行です。

 

さらに、

 

友達であり自分自身である死の扉に

――という詩行もあり

めずらしく説明的で散文的ともいえる言葉遣いが

却って詩(人)の思想を明快にしています。

 

これらを

「死と愛」と関連づけて考えないという手はないはずです。

 

 

「扉」は現実の果てにあり

それが開くと

生と死が向き合っているという構図が示されていますが

この構図は

先に読んだ「窓」の

現実にはあり得ないような

トポロジカルな(位相幾何学的な)空間よりも

平明な感じがあります。

 

 

「扉」の次の次にある「女」には、

 

死の重みを生の重みに代えて

花のほころぶのにも似た 自然な

目覚めをするときの

――とあります。

 

これは、

 

すこやかに<死>をみごもる

――という思想が

別の詩語で語られていると読めそうなところです。

 

 

「死と愛」の二つ前に配置された「炎」は

透明な蝶の番(つがい)が

街灯の下を静かに並んで飛び

はげしく交わった後で

一方の蝶が死へ向って旅立っていく

(生命の)摂理のような

はかなさの象徴のようなものが歌われます。

 

ここに登場する2匹の蝶は

別々の個体と考えるよりも

1個の生命ととらえることが可能でしょう。

 

とすれば

死はここで生命と連続しています。

 

冒頭の2行に、

 

誰も住んだことのない時間

誰も行ったことのない道

――とあることから

蝶が飛んでいるのは

死の世界であるかのように読めますから

蝶が最後に飛び立ってゆく先は

生の世界であるというような

逆転があるのかもしれません。

 

死に向って飛び立つ果てに

生があるかのような

命の完結(はじまり)として。

 

 

この詩「炎」は

「死と愛」を読むヒントになるでしょうか。

 

とりわけ、

すこやかに<死>をみごもった

――という詩行を読むヒントになるでしょうか。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

 

 

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