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2016年10月 7日 (金)

中原中也の鎌倉/「在りし日の歌」清書の前後/小林秀雄の家までの道・9

煥発(かんぱつ)する都会の夜々の燈火(ともしび)を後(あと)に、

おまえはもう、郊外の道を辿(たど)るがよい。

 

 

煥発は、火が燃え盛るときの輝きのこと。

 

ここでは燈火にかかる形容詞ですから

ネオンサインの消えない明るい都会の夜を意味しています。

 

才気煥発や「元気を煥発する」は

精神的な側面の状態を表し

それらはたまに読むことがありますが

都会の表情を歌った中也の詩に

精神的なニュアンスがないことも考えられません。

 

都会に住み、都会を歌った詩人にも

街の灯が疎(うと)ましく思える時が訪れたのでしょうか。


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寿福寺に戻ってきました。

煥発する燈火がここにあるはずがありません。





では、煥発する燈火は

どこに輝いていたものでしょうか?

銀座、新宿、浅草か。

横浜か。

それとも、鎌倉駅前の賑わいか。



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132_2

鎌倉駅ホームは

上り下りともに旧路線が残されていて

ホームの距離だけがどういうわけか複線になっています。


向こう側の枕木は旧式の木製で

手前のものはコンクリート製ですから

中也は向こうの線路を見ていたのかもしれません。



新旧が共存する街を

詩人は、
結構、楽しんでいた形跡がいくらでもありますから

街の燈火をどこそこのものと特定することもないでしょう。


駅はいつも

終わりでありはじまりである場所で


自然にもっとも遠いところにあるものです。




詩人の旅が終ろうとし

新たにはじまろうとしていました。



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