新川和江・抒情の源流/詩人の来歴・その7/選集・アンソロジー
すでに発表した複数の詩集から
制作期間を区切って再編集した詩集、
幾つかの作品を選んで再編集した選集、
テーマを設定してまとめた選集・アンソロジー、
文学全集の中の1冊(または1部)に選ばれた詩篇……などと
詩作品の発表の形は
詩誌や新聞・雑誌などに単発で発表されるものとともに
新川和江の詩世界をいっそう豊穣に(演出)しています。
◇
「新川和江全詩集」(花神社)にも選集(アンソロジー)がありますが
「日本の詩集20『新川和江詩集』」
「現代詩文庫『新川和江全詩集』」
「渚にて」
「新選現代詩文庫『新川和江詩集』」
「花神ブックス『新川和江』」は
既に発表した詩篇を除いた初出詩篇だけを載せています。
(「春とおないどし」だけは初出も既出も含めた抄出です。)
◇
花神社版の全詩集以外にも
選集やアンソロジーはたくさん出ていますし
文学全集や詩歌シリーズなどへの収録もあります。
ハルキ文庫(角川書店)の「新川和江詩集」は
2004年初版発行の文庫本ですが
第1詩集「睡り椅子」などの
初期の詩篇から最近の詩篇までを
詩人自ら編集し直したコンパクト版です。
◇
新川和江には
愛、花、青春などの
特定のテーマで編まれた選集(アンソロジー)が幾つもあります。
全詩集巻末の自筆略年譜で
これらを一覧しておきましょう。
(文学全集、シリーズへの収録もここに記します。)
【テーマ別詩集など】
1966
日本の旅・名詩集(関東篇) 秋谷豊と共著、三笠書房
女の詩集 雪華社、男の詩集は寺山修司
若き日の詩集 集英社
1967
花の詩集 集英社
1968
愛の詩集 集英社
1969
われら中学生 島岡晨との共著、少年詩、毎日新聞社
現代詩鑑賞講座第11巻に作品収録 角川書店
山と高原と湖の詩集 集英社
季節の詩集 集英社 後に文庫版コバルト・ブックス
1970
日本の詩歌第27巻に作品収録 中央公論社
1971
青春歌集「恋人たち」 サンリオ出版
日本女流詩集「翼あるうた」 童心社
青春詩集「ひとりで街をゆくときも」 新書館
1973
青春詩集「海と愛」 サンリオ出版
日本の詩集20「新川和江詩集」 角川書店
塚原琢哉の写真に詩を添える、瀧口修造、林立人との3部作「称名あそび」 ギャラリープレス
全集・戦後の詩第3巻に詩を収録 角川書店
1974
日本抒情詩集に詩を収録 潮文庫
1975
小さな詩集「花ろうそくをともす日」 サンリオ出版
現代詩文庫「新川和江詩集」 思潮社
1982
「目で見る日本の詩歌」全15巻中の「近代の詩(二)」を執筆 TBSブリタニカ
青春詩集「渚にて」 沖積舎
1983
新選・新川和江詩集(後に「続・新川和江詩集」と改題) 思潮社
朝の詩(うた) 花神社
1985
「日本の詩」の1巻として「新川和江」 ほるぷ出版
1986
ラ・メールブックス「女たちの名詩集」 思潮社
花神ブックス「新川和江」 花神社
1988
新川和江文庫・全5冊 花神社 刊行開始
1990
昭和文学全集35昭和詩歌集に作品収録 小学館
1992
ラ・メールブックス「続・女たちの名詩集」 思潮社
1993
祝婚のうた 小学館
1996
日本名詩集成に作品収録 学燈社
1997
アンソロジー「わたしを束ねないで」 童話屋
(以上、花神社「新川和江全詩集」巻末自筆略年譜より。)
◇
選集、アンソロジーだけをまとめるというのに
どのような意義があるか、と
途中ためらいましたが
これらが詩人自身の手で行われたか否かに関わらず
他者の評価、あるいは人気ある詩などを知るうえで
一つの糸口になろうかと考え直しました。
初出作品に新たな生命が吹き込まれるような現象が起きたり
テーマから詩世界への入り口としたり
原詩集の個別の詩を別の角度から読んでみたり……の
きっかけになるかもしれません。
もとより、詩人の活動の全容は
とても追うことはできないでしょうから
小さなきっかけになればいいかな、と。
◇
途中ですが
今回はここまで。
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